社説

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 国連は、総会の補助機関として人権理事会を設置し、取り決め通り人権が守られているかを定期的に審査する。

 人権委に任命されて実情を調査するのが「特別報告者」と呼ばれる人たちだ。弁護士や法学者などの専門家が選ばれ、加盟国への勧告や報告書提出などの「特別手続き」を行う。

 その特別報告者2人が、国会で審議中の「共謀罪」法案や、特定秘密保護法が報道などに及ぼす影響について、いずれも懸念を表明した。日本への指摘が相次ぐのは異例といえる。

 政府は「不正確で不十分な内容だ」と直ちに反論し、争う構えを示す。しかし、それでは国際社会に「感情的な反発」と受け取られる恐れがある。

 指摘にきちんと向き合い、国際的な基準に反していないか、検証すべきだ。

 「共謀罪」法案に疑問を呈したのは、マルタ出身の法学者ケナタッチ氏だ。安倍晋三首相宛てに公開書簡を送り、「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と、必要な措置の検討を求めた。

 法案は「組織的犯罪集団」が対象とされる。「その定義が曖昧で、対象犯罪にはテロや組織犯罪と無関係なものも含まれる可能性がある」とする。

 捜査機関の乱用への歯止め策が不十分な点も危惧しており、国内でも批判されてきた法案そのものの不備が、改めて浮き彫りにされたといえる。

 一方、米国のデービッド・ケイ氏は、日本の報道が特定秘密保護法で萎縮している可能性に言及し、法改正を促した。政府が放送局に電波停止を命じる根拠となる放送法4条の廃止も勧告するなど、こちらもメディアへの圧力が取りざたされる安倍政権には耳の痛い内容だ。

 だからなのか、政府の反応は「強い抗議」を表明するなど強硬さが目立つ。首相も「著しくバランスを欠く不適切なものだ」と対決姿勢を隠さない。

 日本は今年から人権理事会の理事国を務めている。昨年の選挙では「特別報告者に協力していく」と公約した。自らの公約に背を向けたと疑われる言動は避け、報告者とともに誠実に改善の道を探るのが、理事国のあるべき姿だろう。

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