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 原子力規制委員会が、東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、事実上再稼働を認める方針を決めた。

 福島第1原発事故を引き起こした東電が、原因究明を待たずに再び原発を動かそうとする。規制委の田中俊一委員長が「事故に向き合っていない」「主体性のない事業者に再稼働の資格はない」と厳しく批判したのは7月のことだ。

 それがわずか2カ月で再稼働容認に転換したのはなぜなのか。東電が安全を最優先とする組織に生まれ変わるのを見極め、廃炉の見通しをはっきりさせるのが先だろう。

 政府、自民党は柏崎刈羽の再稼働を東電再建の柱に据える。審査をパスすれば、福島第1と同じ沸騰水型の原子炉では初のケースになる。東北電力なども沸騰水型を採用しており、今後の再稼働審査で前例となるのは間違いない。

 18日に退任する田中氏がそうした点まで考慮し、駆け込み的に再稼働への道筋をつける考えなら、組織の存在意義を否定したに等しい。規制行政の信頼を損ないかねない事態である。

 東電が柏崎刈羽の再稼働を申請したのは4年前だ。地盤液状化の恐れや免震重要棟の強度不足が発覚して、審査は中断した。情報が共有されていないなど、東電の組織体質が改まっていないことも明らかになった。

 施設や設備の審査をほぼ終えた段階で、規制委は福島事故への東電の見解をただした。原発運転の適格性が東電にあるのかを審査するためだ。しかし東電は、原発敷地にたまり続ける汚染水や放射性廃棄物の処分などの明確な回答を示さず、先の田中氏の批判につながった。

 ところが、今月になり規制委から「事故の経験はプラスになる」「事故の責任と安全確保の技術力は別問題」などの発言が出始めた。短期間で判断を変えた理由を、田中氏は具体的に説明しなければならない。

 米山隆一新潟県知事は東電に福島事故の原因検証などを求め、再稼働に慎重な姿勢を崩していない。現状では地元同意を得るのは難しい。「原発再稼働ありき」との不信や疑問の念を持たれていることを、東電と規制委は自覚するべきだ。

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