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 安倍政権が新たな看板政策として掲げる「人づくり革命」の具体化に向け、有識者による「人生100年時代構想会議」の議論が始まった。

 高齢化が進む中で立場や年齢を問わず学び、働き続けられる社会を目指すという点に異論はない。しかしどれだけ施策を並べても、予算の裏付けがなければ絵に描いた餅だ。政策全体を大胆に見直し、無駄を省いて財源を生みだす必要がある。

 「人づくり革命」の中心は①教育無償化②大学などの高等教育改革③企業の採用方法見直し④高齢者中心の社会保障を全世代に拡大-の4点だ。

 教育無償化は、対象を大学まで拡大すれば4兆円を超す財源が要る。社会保険料への上乗せか国債発行かで自民党内の議論は分かれる。安倍晋三首相は年内に方向性を出すよう指示したが、容易ではないだろう。

 社会保障の対象拡大は、2012年に自民、公明と旧民主の与野党3党が合意した「社会保障と税の一体改革」でも示された。消費税率を引き上げ、年金や介護だけでなく子育て支援にも充てるとしたが、その後、安倍政権は増税を2度にわたって先送りしている。

 給付メニューを拡大させるなら国民負担のあり方についての議論は避けて通れない。「人生100年時代」に対応する社会保障制度を目指すのが、政権与党としての責任ある姿勢だ。

 地方創生、女性活躍、働き方改革、1億総活躍…。安倍政権は発足以来、次々に新たな看板を掲げ、有識者会議や担当大臣を設置する手法を繰り返してきた。しかし実際にどれだけの効果を挙げたか、緻密な検証がなされたとは言いがたい。

 介護や保育施設の充実などは看板が変わっても、盛り込まれてきた。国民のニーズが強いのに、予算措置などが伴わず、実現できていない証しだ。政策の手詰まり感は否めない。

 安倍政権は年末で発足5年となる。看板を掛け替えて政策の新鮮味を打ち出そうとする手の内は、もはや多くの国民に見透かされている。

 次世代にツケを残さないよう財政を立て直し、生活に密着した重要課題の解決に正面から取り組むべきだ。

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