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 「開かずの扉」をこじ開ける判決が確定した。

 時の政権が自由に使える内閣官房報償費(機密費)を巡り、大阪の市民団体が国に関連文書の公開を求めた裁判の上告審で、最高裁が一部開示を認める判断を初めて示した。国民の知る権利に配慮した判決といえる。

 訴訟は3件起こされ、うち2件については大阪高裁も一部開示の判決を言い渡している。最高裁で開示の範囲は狭められたが、国の全面不開示は見直される。これを足掛かりに、国民の監視の目が及ぶルールづくりにつなげたい。

 機密費はその名の通り、国の事業を円滑に進めるため政府が水面下で使う経費だ。主に国内外の極秘の情報収集などが目的とされ、年間14億円余りの予算が計上されている。

 これまで国は使い道はおろか、支出額を含む一切の公表を拒んできた。盾としたのが情報公開法の条文だ。公にすれば国の事務遂行に支障が出る、あるいは関係国との信頼関係が損なわれる場合について、例外的に非開示を認める-。裁判でも、同様の主張を繰り広げた。

 すべての情報開示を拒んできた国の姿勢は、政権を無条件で信頼しろと言うに等しい。

 これに対し最高裁は、支払い相手や使途を特定することが困難なものについては開示を認めた。具体的には、月ごとの支出額などが当たる。

 今回の3件の訴訟には2009年9月、当時の麻生内閣の河村建夫官房長官が引き出した2億5千万円が含まれる。総選挙に敗れた直後のことで、退陣までに全額を使い切ったとされ、批判の声が上がった。

 過去にも、共産党による内部資料公開や官房長官経験者の証言で、与野党議員の背広代やパーティー券の購入など不可解な使い道が浮かび上がった。

 政権が緊張感を持って国政に当たるには、国民のチェックが欠かせない。国家機密と知る権利のあり方について、国会論議を重ねる必要がある。

 言うまでもないが、機密費は国民の税金で賄われている。外交文書同様、政権は一定の期間を経た後、すべての情報を原則公開すべきだ。そして歴史の検証を受けなければならない。

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