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 自民党の憲法改正推進本部が、教育の充実に関する改憲条文案を大筋で了承した。

 教育を受ける権利などを定めた26条に3項を新設し、国に教育環境を整備する努力義務を課す。教育を等しく受ける権利を定める1項には、「経済的理由によって教育上差別されない」との文言を加える。

 家庭の経済的事情で大学などへの進学を断念することのないよう、教育格差の是正は進めていかねばならない。そのための取り組みは必要だろう。

 だが、今回盛り込まれた趣旨は、すでに憲法や教育基本法で定められている。なぜ、わざわざ改憲をしなければならないのか、首をかしげざるを得ない。

 「経済的理由」は、教育無償化を掲げる日本維新の会の改憲原案で26条に盛り込まれた文言だ。維新はさらに、幼児期の教育から高等教育に至るまでの無償化の明記を主張している。

 幼児教育から大学などの全課程を無償化するには、推計で毎年4兆円を超える予算が新たに必要になる。財源不足などから、自民案は教育の無償化の明記を見送り、維新案の一部を採用するにとどまった。

 そもそも、昨年の衆院選で教育の無償化を掲げておきながら、改憲案では無償化に消極的な自民の態度はちぐはぐだ。党内部からも、改憲の必要性を疑問視する声が上がる。

 それでも教育を俎上(そじょう)に載せるのは、本丸の9条改正に向け、維新案に歩み寄ることで同党を取り込みたい狙いがあるのだろう。党利党略のために、教育を利用するのは許されない。

 新設する条文案では、教育を「国の未来を切り拓(ひら)く上で極めて重要な役割を担う」としている。教育への国家の介入が懸念される表現ではないか。あくまでも個人が学ぶ権利を保障する内容であるべきだ。

 教育格差の是正に向けて必要なのは改憲ではない。財源であり、国の本気度である。野党も「改憲の国民投票にかかる経費を、教育無償化の財源に回した方がいい」と批判する。

 給付型奨学金の拡充や大学授業料の免除など、早急に取り組むべき施策が山積している。財源をどう捻出していくのか、議論を深めなければならない。

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