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 憲法9条改正に向けた自民党内の動きが気ぜわしくなってきた。同党の憲法改正推進本部は所属国会議員から募った条文案を踏まえ、25日の党大会までの取りまとめを急いでいる。

 戦争放棄などを定めた9条の改正は、改憲の最大の焦点だ。安倍晋三首相自身の「宿願」でもあり、首相や周辺は「いよいよ本丸に迫った」という思いでいることだろう。

 ただ、「平和主義」という国の根幹に関わる問題で、スケジュールありきは許されない。

 共同通信社の世論調査では安倍政権での改憲に5割が反対している。自民党はその現実を直視し、本当に改憲が必要なのか、一から考え直すべきだ。

 首相は昨年の憲法記念日に、今の9条の条文に「自衛隊の存在」を追記する独自の案を公表した。それによって党内の改憲論議を促し、昨年秋の衆院選で「改憲勢力」が3分の2以上を維持したことで、国会発議を見据える状況になった。

 自衛隊を9条に明記することで、「自衛隊は違憲」とする議論に終止符を打つ。首相は自身の改正案の狙いをそう語る。

 現在、自衛隊の違憲性を巡る議論はほとんどない。国民の反発が予想される9条の条文見直しを避け、実現可能な改憲の道を探る。「名を捨てて実を取る」というのが本音だろう。

 だが、具体的な条文案を検討するこの段階になって、自民党内の混乱が浮き彫りになった。首相案を踏まえて「自衛隊」と明記すべきか、「自衛権」という表現にするかなど、肝心の点で意見が分かれている。

 どのように表記しても、9条2項が掲げる「戦力不保持」「交戦権否認」と矛盾しないか、許される自衛権はどの程度か-などの議論は続くことになる。2項削除を求める声も根強く、党内の隔たりは大きい。

 先日の国会質疑で、首相は自身の改正案なら「自衛隊の任務や権限は変わらない」と答弁した。「自衛隊が合憲ということは国民投票で否決されても変わらない」とも述べた。「それなら憲法を変える必要はない」と批判の声が上がるのは当然だ。

 「改正ありき」で進めるから混乱する。これではとても国民の理解は得られないだろう。

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