社説

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 自衛隊任務を大幅に拡大した安全保障関連法の施行から、きょうで2年となる。

 南スーダンでの駆け付け警護の任務付与や、米軍艦船への防御と洋上給油…。

 政府はこの間、情報を国民にほとんど公開せずに、海外活動や米軍支援などの実績を重ねてきた。専守防衛がなし崩しになる懸念は強まるばかりだ。

 忘れてはならないのは、安保法に先立って、安倍政権が集団的自衛権を巡る憲法解釈を百八十度変更したことである。

 わが国は国際法上、集団的自衛権を保有する。しかし、憲法9条が認める自衛の範囲を超えるので行使はできない。これが歴代政権の解釈だった。

 それを閣議決定で「できる」と変えた。今後は他国に対する米軍との軍事行動を自衛隊が迫られる事態も予想される。

 気がかりなのは、トランプ米政権の登場で不安が現実味を帯びてきたことだ。

 安保法は、密接な関係にある国が攻撃を受け、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合を「存立危機事態」と位置付ける。適切な手段がない場合などに限って集団的自衛権の行使が可能とした。

 政府は「あくまでも限定的な行使容認」とするが、大半の憲法学者が「違憲」と指摘する。

 一方、政府もどこまで具体的に考えていたかは疑問だ。中東ホルムズ海峡の機雷掃海活動を例に持ち出しては取り下げるなど、説明は二転三転した。

 「存立危機事態での出動命令に従う義務はない」と自衛官が訴えている裁判でも、国は「命令が出される現実的な可能性はない」と主張する。ならばなぜ法の成立を急いだのか。

 「安保法は事実上米軍のための法律」との見方が防衛省内にある。米国と北朝鮮の軍事衝突を念頭に、存立危機事態を想定した訓練も始まる見通しだ。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談にトランプ氏は意欲を示す。だが、軍事力を誇示して圧力をかける強硬姿勢に変わりはなく、緊張が一気に高まる展開も否定できない。

 日本が他国の戦闘行為の当事者となる。そうした危険の存在を直視し、安保法の見直しや廃止を改めて議論すべきだ。

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