社説

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 前市長の辞任に伴う西宮市長選は、無所属の石井登志郎氏が接戦を制して初当選した。

 市政トップの度重なる暴言や疑問符が付く政治姿勢が市のイメージダウンを招いていた。それだけに、市民の信頼を取り戻せるかどうかは、新市長の言動にかかっている。

 今村岳司前市長は、前回の選挙で「しがらみ政治」を批判して当選した。しかし在任中は数々の失言で市民の信頼を失い、市議会とも対立していった。

 最たるものが、取材する記者に「殺すぞ」と言い放ったことだ。議会は辞職を求めたが今村氏は拒否した。議会は市長退職金の減額条例案を出す予定だったが、直前に今村氏は辞職し、今回の選挙となった。

 新人6人が立候補した混戦の中、石井氏が自民、公明の推薦する元県議をわずか108票の差で破った。国政の混乱で与党に対する逆風が影響した可能性もある。

 「開かれた市政」を掲げた石井氏は、2800万円の市長退職金の廃止と市役所改革を主張した。待機児童をゼロにするなど、子育て施策の充実も訴えた。公約は市民との約束だ。速やかに着手することが信頼回復の第一歩となる。

 西宮市は阪神・淡路大震災で大きな被害を受けたが、その後人口は回復し、県内3番目の48万人を抱える。

 近年、住宅地として人気を集め、人口流入が顕著だ。このためマンション開発が急ピッチで進み、周辺住民とトラブルも起きている。地域によっては学校の教室が不足して仮設校舎が急増している。こうした課題にも向き合わねばならない。

 石井氏は民間企業に勤めた後、旧民主党で衆院議員を1期務めた。この経歴と46歳という若さを生かして、柔軟な発想による市政運営を期待したい。

 残念だったのは投票率だ。前回を上回ったとはいえ、37%台と低調だった。

 石井氏は3万7千票余を獲得して当選した。だが、全有権者の1割にも満たないことを十分に認識する必要がある。

 困っていても声を上げられない市民もいる。多様な意見を吸い上げ、声なき声にも耳を傾けることが大切だ。

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