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 肺疾患の中皮腫で亡くなった兵庫県警の元警察官について、阪神・淡路大震災の救護・警戒活動中に吸い込んだアスベスト(石綿)が原因とする公務災害が認定された。

 県警では、震災時の過労などで死亡した警察官に公務災害が認定されたケースは4件ある。だが、石綿吸引の疾患が認められたのは初めてだ。

 震災直後、被災地では多くの建物が倒壊し、がれきの撤去などが急いで進められた。その過程で飛散した石綿を多くの人が吸い込んだとみられる。

 とりわけ復旧作業など現場での業務に長く当たった人には、健康への影響が心配されている。被害の柔軟な認定と手厚い救済を考えねばならない。

 この警察官は1995年の震災時、神戸市内の警察署に勤務していた。発生直後から約1カ月間、長田署に派遣され、被害者救護や犯罪警戒に当たった。

 定年退職後の2014年に石綿の吸引が原因とされる「悪性胸膜中皮腫」と診断され、公務災害を申請した。だが結論が出る前に亡くなったという。

 髪の毛の5千分の1の微細な石綿繊維は肺の組織を傷つけ、十数年~40年後に中皮腫や肺がん、石綿肺などを引き起こすリスクがある。

 06年に使用や輸入が全面禁止されたが、それまで建材として用いられ、阪神・淡路の当時は復旧工事などで特段の飛散防止策は講じられていなかった。

 その影響か、阪神・淡路でがれき処理に携わった労働者に中皮腫を発症するケースが出ている。この警察官も昼夜交代で被災地を巡回する勤務を続けた。それ以外に石綿と結びつく記憶はなかったという。

 環境省は県内で神戸、尼崎、西宮、芦屋、加古川の5市と連携して健康調査を進めている。一方、明石市では、震災時にがれき収集などに従事し、中皮腫で亡くなった元職員の遺族が認定を求め訴訟を起こしている。影響はかなり広い地域に及んでいると考えるべきだろう。

 労災や公務災害に該当しない一般住民には、石綿健康被害救済法で医療費や遺族に弔慰金などが支給される。こちらも給付水準の引き上げなど、支援策を拡充しなければならない。

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