社説

  • 印刷

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん問題で、きのう財務省の調査報告書が公表された。当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が改ざんを主導したと認定し、佐川氏を含め関係した幹部・職員20人を処分した。

 トップである麻生太郎財務相は閣僚給与の1年分を返上するが、「進退は考えていない」と続投を表明した。

 財務省では事務次官のセクハラ問題も記憶に新しい。いずれも麻生氏が大臣時代の不祥事だ。任命と監督責任があるのは明らかで、辞任は免れない。

 調査報告は、政治家名が記載された文書について佐川氏が「外に出すべきでない」と発言して改ざんの方向性を決定づけたとしている。その動機は、国会審議の紛糾を避けようとしたためと結論付けた。佐川氏の行為は民主主義を土台から揺るがすもので、極めて悪質だ。

 注目されるのは、安倍晋三首相が昨年2月、夫妻の関与を全面否定した国会答弁を、交渉記録を廃棄する契機となったと認めたことだ。

 首相が「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」と言い切ったことをきっかけに、昭恵夫人の名前などが書かれた交渉記録を廃棄した。佐川氏らが「忖度(そんたく)」したと示唆する内容である。

 首相は、改ざんや廃棄が自身の答弁とは無関係と強調してきた。国会で、報告書との整合性が問われなければならない。

 麻生氏は「行政の信頼を失った。深くおわびする」と謝罪しながらも、自らの責任については再発防止に全力を挙げ「職責を全うする」と述べた。

 一連の不祥事では、麻生氏の発言も批判を受けてきた。「セクハラ罪はない」「(前事務次官は)はめられた可能性は否定できない」「改ざんとか、悪質なものではない」など、耳を疑うものばかりである。

 それでも首相は麻生氏をかばい続けている。副総理としても政権を支え続けてきた麻生氏が辞任すれば、首相自身が直接批判にさらされる。ひいては自民党総裁選の3選への影響を考えているとされる。だが、政治の責任を明確にしなければ、信頼回復はおぼつかない。

社説の最新