社説

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 働き方改革関連法案を巡る論戦の舞台が参院に移った。

 多様な働き方を選択できる社会の実現を「改革」の目的とする。しかし、長時間労働はもとより、過労死や過労自殺が一向になくならない現状からすれば、法案には重大な問題がある。

 経済界の要請に配慮して、労働時間規制の強化と緩和を強引に抱き合わせていることだ。

 衆院での法案審議中にも過労死が相次ぎ発覚した。

 東京のIT企業で裁量労働が適用されていた20代の男性社員と、在京テレビ局の50代の男性プロデューサーの2人が過労死として労災認定されていた。IT企業の男性は36時間連続の勤務もあった。

 これ以上、長時間労働を野放しにしてはならない。法案から残業時間の上限設定を切り離し、優先して実現させるべきだ。

 日本は労働時間を「原則1日8時間、週40時間」と定めている。ところが、労使が労働基準法36条に基づく「三六(サブロク)協定」を結び、さらに特別条項を設ければ残業は事実上の青天井となる。

 法案はここにメスを入れるものだが、繁忙時の残業上限を「月100時間未満」としている。労災認定の目安になる過労死ラインの月80時間を大きく超えており、適切といえるのか。

 与党、政府は20日までの国会会期を延長する方針を固める。労働者の健康を守り、企業の健全な競争力を保つ観点から、丁寧な審議をする必要がある。

 雇用者の4割近くを占める非正規労働者の待遇改善も待ったなしだ。

 法案に盛り込まれた「同一労働同一賃金」は、働き方の変化に対応した内容といえる。最高裁も先日、正社員との不合理な待遇格差の是正に向けて一定の判断基準を示した。

 企業の取り組みを促すためにも、個別の法案として速やかに成立させるべきだ。

 一方、高収入の一部専門職を残業規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」は労働者保護の観点から問題が多い。論戦は深まっておらず、拙速な導入は危うい。

 働く人の意欲を高めてこその「改革」だ。それなしに経済の持続的な成長は難しい。

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