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 国民の選良と呼ばれる人の人権意識がこの程度かと驚かされる。自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が月刊誌に寄稿した内容だ。

 性的少数者(LGBT)のカップルは子どもをつくらない、つまり生産性がない。そうした人たちの支援に税金を使うことに賛同が得られるのか-。

 問題提起のつもりなのだろう。しかし暴論としか言いようがない。偏見に苦しむ人たちに思いを寄せる感性がうかがえない。子どもを産まなければ支援は不要との考えは、LGBTだけでなく多くの人を傷つける。

 自民の二階俊博党幹事長が「いろんな人生観、政治的立場がある」と、不問に付す姿勢であることも理解に苦しむ。

 杉田氏は2012年に、兵庫6区で日本維新の会から立候補して比例で復活当選した。前回衆院選は自民党の中国ブロックの比例単独で当選した。政党票のみで議席を得た以上、誤った言動は党がチェックし、厳正に対処するべきではないか。

 寄稿の中で杉田氏は、LGBTのうち性同一性障害には医療行為の充実などの必要性にも言及する。他方で、同性愛などの性的嗜好(しこう)まで認めると「歯止めが利かなくなる」とした。

 欧米では同性婚を合法化する国が増えている。安倍政権の「1億総活躍プラン」もLGBTへの理解を促し、多様性を受け入れる環境整備が明記された。携帯電話各社が家族割引を同性パートナーにも認めるなど、企業の動きも進み始めた。

 「常識を見失っていく社会は秩序がなくなる」とした杉田氏の意見は個人の尊厳を踏みにじり、世界の潮流にも逆行する。

 2年前の7月、神奈川県の障害者施設で入所者19人が殺害された事件を思い起こす。元施設職員の容疑者は「障害者は不幸だから」と動機を供述した。

 独善的な価値観を持ち、不要とみなす存在は排除しようとする。偏狭な考えは、憎悪や差別をあおり、社会を分断する。

 偏見を正し、多様な人が共生できる社会をつくるのが、与野党を超えた政治家の責務だ。

 一方、杉田氏に危害を加える内容のメールが届いたという。今回の寄稿との関連は不明だが、暴力で対抗するという考えならば絶対に賛同できない。

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