社説

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 中央省庁が法律で義務づけられている障害者の雇用割合を守らず、40年以上にわたって水増ししていたことが発覚した。

 障害者手帳を持たない対象外の職員を、大幅に障害者雇用数に算入していたという。「視力が弱い」「健康診断で異常を指摘された」といった職員も数に入れていた例もある。

 故意とすれば悪質であり、言語道断というしかない。

 これまでに農林水産、総務、国土交通の3省が不正の可能性を認めた。ほかの省庁でもまかり通っている疑いがある。

 さらに愛媛県や山形県でも不正が発覚している。厚生労働省は、省庁だけでなく全国の自治体についてもさかのぼって実態調査を行い、責任の所在を明らかにせねばならない。

 官僚任せにせず、閣僚ら政治がリーダーシップを発揮して是正を急ぐべきだ。

 障害のある人が、ない人と同様に能力と適性に応じて働き、地域で自立した生活を送る-。障害者の雇用対策が目指すのは、共生社会の実現である。

 その核となる障害者雇用促進法は、国、自治体、企業などに一定割合以上の障害者を雇うよう義務づけている。「法定雇用率」といい、今年4月1日から国と自治体が2・5%、企業は2・2%となった。

 国や自治体の法定雇用率が民間より高いのは、障害者雇用の旗振り役に位置づけられているからだ。企業に厳しく目標達成を求める国自身が、法の趣旨をないがしろにしていた事実にあぜんとするほかない。

 しかも、当の省庁からは耳を疑う発言が飛び出している。

 「国会対応など突発的な仕事が多く、障害者を採用できない」「目標値ばかり掲げる厚労省に問題がある」

 こうした言動は、国民には責任逃れとしか聞こえない。最初から守るつもりがなかったのかと疑念を持たれても仕方ない。

 企業が3年ごとに受ける雇用実態のチェックが中央省庁にはないのも問題だ。早急に点検する仕組みをつくる必要がある。

 財務省の公文書改ざんや防衛省・自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、文部科学省の汚職事件など、行政の不祥事が後を絶たない。信頼回復への道は遠のくばかりだ。

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