社説

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 「障害者雇用支援月間」である9月を前に、行政機関のあまりに罪深い背信行為が改めて明らかになった。

 政府は、中央省庁など国の33行政機関のうち8割の27機関が障害者雇用数を水増ししていたとする調査結果を公表した。

 昨年、国は計約6900人の障害者を雇用していると発表していた。ところが、これは厚生労働省のガイドラインを都合よく解釈して積み上げた数字で、半数近い3460人は障害者雇用の対象外だった。

 国や地方自治体に義務づけられた障害者の「法定雇用率」は、当時2・3%(今年4月から2・5%)だった。厚労省は「行政機関は2・49%を達成した」と誇っていたが、実際は1・19%にすぎなかった。

 共生社会の推進役となるべき国が障害者の働く機会を奪っていたことに、強い憤りを感じる。差別がまかり通っていた事実は深刻といわざるを得ない。

 水増しは恒常化していたとの指摘がある。各省庁は判で押したように「故意ではない」と釈明するが、納得しがたい。過去にさかのぼって調べ、なぜ長期間続いたのかを明らかにし、厳しく責任が問われるべきだ。

 自治体の調査も急がれる。これまでに25県と5政令都市で不正が明らかになった。兵庫県内では県教育委員会がガイドラインの定める障害者手帳の確認を怠り、自己申告に任せていた。

 ガイドラインの徹底が再発防止の第一歩となるが、民間企業と同様に、行政機関も定期的なチェックを受ける必要がある。法定雇用率を満たさない企業には、事実上の罰金が科せられる。行政にはより厳しい罰則があってもおかしくない。

 政府は障害者の雇用を急ぐという。しかし、行政の現場には障害者に能力を発揮してもらうノウハウに乏しいところも少なくない。障害に対する理解を深める研修など、職場へのきめ細かな支援も求められる。

 毎年、障害者雇用支援月間には障害者の職場定着や登用に実績を上げた企業が表彰される。障害者の自立的な生活を後押しするのが制度の理念だ。その実現のため、拙速な数合わせに終わらせないよう、まずは民間の実践例に学んではどうか。

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