社説

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 中国電力が、建設中の島根原発3号機の稼働に向けた審査を原子力規制委員会に申請した。審査にパスしても、実際に動かすには立地自治体の島根県と松江市の同意が必要になる。

 一方で事故時の避難計画策定が必要な半径30キロ圏には、ほかにも鳥取県米子市や境港市など5市があるが、同意を求める対象になっていない。

 原発の安全性に向ける視線は厳しくなっている。稼働への意向を聞かれないまま自治体は事故対策を練らねばならず、どれだけ住民の理解や協力が得られるだろうか。

 東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働申請では、設置者の日本原電が同意対象を30キロ圏の自治体に拡大した。鳥取県知事は経済産業省に、周辺自治体も同意対象に含めるよう求めた。

 原発稼働の判断には、避難リスクを抱えるすべての自治体の意向を反映させるべきだ。

 2006年に本工事が始まった島根原発3号機はすでに9割方完成しているが、東日本大震災の福島原発事故を受け稼働のめどが立たなくなっていた。

 「既設原発」とみなした旧民主党政権の判断を踏襲し、新設には該当しないというのが政府の見解だが、国民から見れば新しい原発と考えるのが自然だ。

 原発新増設に関して政府は明確な方針を示していない。3号機が稼働すれば新増設への機運を高める契機になると、電力業界は期待をかけている。

 中国電力は3号機の稼働理由に、老朽火力発電所の置き換えによる経済性などを挙げている。だが地元自治体の首長の中には「具体性に欠けている」と納得していない声もある。

 過酷事故が起これば、風向き次第で周辺自治体も立地自治体と同等かそれ以上の被害を受ける恐れがある。30キロ圏の住民は県境を越えて岡山市や広島市まで避難を強いられる。

 太陽光発電など再生可能エネルギーもある中で、多大な被害を度外視して実現を目指す。その理由をどう説明するのか。

 原発が動けば、最終処分のめどが立たない核のゴミが増える。そうした問題も無視できない。十分な情報を提供し、反対の声にも耳を傾けるのが、国や電力会社の責務だ。

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