社説

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 昨年12月、新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が発生し走行中に破断寸前に陥った問題で、台車を製造した川崎重工業が外部有識者を交えての調査結果と再発防止策をまとめた。

 亀裂を生んだ原因とみられるのは、製造した11年前の工程の不備である。調査結果は、その誘因として情報が社内で共有されていなかったことを示しており、構造的な問題といえる。

 川重は業務見直しや従業員教育の充実などとともに、部門間連携の強化を再発防止策に掲げている。風通しが悪ければ大きなミスや不正につながりかねないことを、製造業全体が認識してもらいたい。

 亀裂は台車枠の鋼材を削ったために起きたとみられる。溶接する部材の精度が一定でなかったための現場判断だったが、基準以上に削りすぎていた。

 調査結果によると、部品の発注先や加工法が変更され精度のばらつきが予見できたのに、担当部署でその影響を検討しなかった。加工段階の注意事項も現場には説明されず、現場は鋼材をどこまで削って良いか知らないままだった。

 加工しにくくなった部材を、製造現場はなんとかしようとしたのだろう。問題意識を社内で共有し、解決に取り組んでいれば、今回の事態は招かなかったのではないか。川重は「過度な製造現場依存」が品質管理を疎(おろそ)かにしたと自戒している。現場が発する異変のサインも敏感にくみ取る必要がある。

 昨年来、名だたる日本の大手メーカーで不祥事が続いた。先日も日産自動車が検査不正の報告書を発表したほか、スズキやスバルの不正も拡大している。共通するのは、社内の風通しの悪さだ。第一線のアイデアをコスト削減や経営改善に生かす日本企業の強みも、これでは失われかねない。

 鉄道車両工場の風景が自動車と大きく異なるのは、ロボットの少なさだ。自動車に比べれば多品種少量生産で車体も大きいだけに、まだまだ人の手に頼らざるをえない。

 鉄道車両は多数の人命を安全に運ぶことが最優先される。設計段階から加工現場まで、製造に関わる全ての人がそのために意思疎通を密にしてほしい。

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