社説

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 「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げる安倍晋三首相は、6年前に再登板してから積極的に外国訪問を重ねた。訪れた国や地域は76と歴代政権で最多を誇る。

 多くの国々と交流を深めること自体は国益にかなう。問題は外交の軸が米国に傾いている上、その成果が十分に生かされていない点にある。

 米中の両大国が軋轢(あつれき)を深め、アジアを巡る情勢は大きく動こうとしている。安倍政権は各国とバランス良く関係を築きながら、戦略的な外交を展開する必要がある。

 外遊実績を誇る中で、足元の中国と韓国はどうか。単独訪問は韓国へは実施されておらず、中国はようやく今月中にも実現する見込みだ。隣国同士としては関係が希薄すぎる。

 逆に米国への単独訪問は7回にのぼる。一昨年の大統領選直後、首相は世界の首脳に先駆けてトランプ氏と会談した。相手国に出向いて就任前の首脳と会うのは異例である。

 首相はトランプ大統領との会談を重ね、信頼関係を築いたと強調する。しかし国益に生かせているとは言いがたい。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、米国との仲介役を務める韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と3回の会談を行い、トランプ氏と直接対話も実現した。北朝鮮の後ろ盾である中国の習近平国家主席とも会談を重ねている。

 これまで日本は、米国に呼応して北朝鮮に強硬路線を続けてきた。しかし米国が対話へとかじを切り、取り残された感が否めない。

 米朝会談の実現は、声高に非難し合う一方で対話のパイプを築いた結果だ。日本は、米国に追従するだけで北朝鮮とのパイプを十分に築けていないのではないか。拉致問題の解決を目指した日朝首脳会談も、開催の道筋が見えないままだ。

 日米同盟が日本外交の枢軸であるにしても、近隣国との関係が強固なら蚊帳の外には置かれなかったのではないか。

 トランプ氏は日本の対米黒字にも批判の目を向け、通商摩擦をいとわない姿勢を強めている。同盟関係に頼らず、主張すべきは主張する外交を展開しなければならない。

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