社説

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 核軍縮が一層後退する動きに危機感を覚えざるを得ない。

 米国が昨年12月、ネバダ州で臨界前核実験を実施していたことが明らかになった。トランプ政権下では初の核実験となる。

 広島や長崎の被爆者からは「いかなる核実験も反対だ」などとする抗議の声が上がっている。核爆発を伴わない模擬実験とはいえ、国際世論を無視した振る舞いで容認できない。

 米エネルギー省傘下の核安全保障局は「新設計の核兵器の有用性を確認できた」とコメントしている。トランプ政権は今年2月、核兵器の役割拡大を目指す新方針を公表し、爆発力が低く「使える核兵器」とされる小型核の開発も盛り込んだ。今回の実験は、この構想を推進する姿勢を示しているといえる。

 核の小型化は、核使用のハードルを大幅に下げることにつながりかねない。ロシアが小型核を使用する場合の抑止力とされるが、極めて危険だ。核の悲劇を繰り返さないために方針を改めるべきだ。

 米朝間では北朝鮮の非核化を巡る協議が進んでいる。今回の実験について米国の反核活動家は「自国の核兵器に固執しつつ、北朝鮮に非核化を迫るべきではない」と批判している。

 全く同感である。米朝首脳再会談が来月にも見込まれる中、体制保証を求める北朝鮮が、米国の行動に疑念を抱き、態度を硬化させないか気掛かりだ。

 トランプ大統領は、「核なき世界」を目指したオバマ前政権の方針を転換し、「力による平和」を掲げる。核戦力を重視し、臨界前核実験も定期的に実施する方針だ。

 26年前から停止している地下核実験も、短期間で再開できる体制を整備しているとみられている。今年12月にも別の新技術の性能を調べる実験を計画しているとされる。

 危惧されるのが、米国の姿勢が、ロシアや中国などを核戦力増強に駆り立てることだ。かつてのような際限のない核開発競争につながる恐れがあり、何としても避けねばならない。

 唯一の戦争被爆国の日本は、今回の実験について米国に厳重に抗議するべきだ。主張してきた核廃絶・核不拡散の実現に向け、その行動が問われる。

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