社説

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 現在の安倍政権が2012年末に発足して以来、広まった現象の一つが、沖縄に対する悪意と偏見に満ちた言動だ。

 国内の米軍専用施設面積の7割が集中し、県民に負担を強いている。その現実を、揶揄(やゆ)するようなデマや中傷がネット上や書籍にあふれる。そうした風潮は、硬直した政権運営の姿勢と無関係とは決して言えない。

 「県民に寄り添う」との言葉と裏腹に、地元が猛反発しても米軍普天間基地の辺野古沖への移設を「負担解消の唯一の解決策」として強行する。

 これでは沖縄の不信感を増し、本土との分断をあおりこそすれ、解消にはつながらない。

 米軍基地が日本の安全保障に欠くことができないのであれば、負担は沖縄に集中させず全国で担う必要がある。そのための議論を重ねるとともに、分断解消に力を尽くすのが、日本政府として取るべき態度だ。

 米ニューヨーク・タイムズ紙は社説で、辺野古問題について「日米両政府は妥協案を見いだすべきだ」と、沖縄県民を犠牲にした安全保障の現状を批判した。移設反対派の玉城デニー氏を新知事に選んだ県民の明確な意志を受けてのものだ。

 外交と安全保障は国の専権事項とする日本政府とは対極の考え方を、米国の主要紙も示した。民主主義国家である以上、安全保障政策も民意の尊重が大原則であることを、改めて認識しなくてはならない。

 基地問題は一都道府県の問題ではないと、故翁長雄志(おながたけし)前沖縄県知事は訴え続けてきた。全国知事会はこれに応え、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定の抜本的見直しを政府に求めた。地方も沖縄の負担軽減を求めていることを、重く受け止める必要がある。

 菅義偉官房長官はきょうにも玉城知事と会談する意向だ。安倍晋三首相とも面会するというが、単に思いを聞き置くだけなら意味がない。

 アジアを巡る情勢は大きく動こうとしている。米軍基地の再配置も取り沙汰される。

 政府はこの機に、沖縄の負担軽減につなげる構想を描き、米国にぶつけるべきだ。交渉すべき相手は、同胞ではない。

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