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 なぜこれほど強硬なのか。既成事実さえつくれば沖縄の民意は抑え込めると、安倍政権は高をくくっているのか。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖移設を巡り、防衛省はきのう、予定海域の埋め立てを始めた。反対する市民の怒号が飛び交う中、サンゴの海に土砂が投入された。

 埋め立てによって、自然環境が変わり、生物への影響は免れない。事態は新たな局面に入ったと言える。

 建設するのは滑走路2本の海上基地だ。撤去可能なヘリポートだった当初案とは一変した。沖縄全体でみれば基地負担の軽減にはならない。

 県知事選で移設反対を掲げ、玉城デニー氏が最多得票で当選したことの重みを考慮したのか。政府が繰り返す「唯一の解決策」が土砂投入では、反発の声が上がるのは当然である。

 県は来年2月24日、移設の賛否を問う県民投票実施を予定している。その結果を基に着工の是非を考えるのが民主主義の原則だろう。環境破壊を少しでも食い止めるため、民意を踏みにじる埋め立てを直ちに中止して、対話を再開するべきだ。

 この1カ月、政府は玉城知事と協議を重ねてきた。菅義偉官房長官や安倍晋三首相もテーブルに着いた。一方で、県の使用許可が下りない公共港湾の代わりに民間の桟橋を確保するなど、着々と準備を進めてきた。

 「沖縄の立場は理解しているが、工事は引き続き進める」-。菅長官の発言には、県民に寄り添う姿勢が感じられない。

 そもそも政府は、新基地が完成すれば直ちに普天間が返還されると明言していない。

 2013年に日米が合意した返還計画では、辺野古以外に七つの条件が課せられた。緊急時の那覇空港使用などが問題となるが、政府は踏み込んだ見解を示そうとしない。

 空域の使用制限などで、沖縄のみならず日本の空全体に影響を及ぼす日米地位協定も、見直す動きは見られない。

 民意を軽んじて国策を押し通す。地方に従属を求めるが、米国には忖度(そんたく)の姿勢を示す。沖縄の怒りと反発は、安倍政権の対応に向けられている。日本全体の問題として受け止めたい。

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