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 防衛費は過去最大を更新し、護衛艦の空母化や遠隔地を攻撃する長距離巡航ミサイル導入など、「専守防衛」の制約を逸脱するような項目が並ぶ。

 これで「平和国家」に見合った内容といえるのか。

 政府はきのう「防衛計画の大綱」と次期中期防衛力整備計画(中期防)を閣議決定した。内容に目を通せば、防衛力増強の一途に改めて危惧を抱く。

 最新鋭ステルス戦闘機F35や地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」など、巨額の装備を米国から購入する計画だ。そのため来年度以降5年間の防衛予算は27兆円を突破する。

 国と地方が借金返済と財政再建を迫られる中、現在の中期防を2兆8千億円も上回る。

 単年度の防衛費も安倍政権発足以来、毎年増え続ける。社会保障や教育費などの苦しいやりくりとは対照的に、防衛関連予算は事実上「聖域化」し、歯止めを失った感がある。

 中国は、沖縄県・尖閣諸島周辺などで力を背景とした動きを見せる。米国との対話姿勢を打ち出す北朝鮮も依然、核・ミサイル能力を保有する。大綱はそれらを「強い懸念」や「差し迫った脅威」と強調する。

 さらに、宇宙空間での軍事行動や、国内のコンピューター網を狙ったサイバー攻撃など、新たな防衛分野の拡大にも警鐘を鳴らす。これまでにない備えが必要なのは確かだろう。

 ただ、新技術開発には資金がかかる。財源には限りがあり、防衛力の強化だけで解決を目指すのは現実的とはいえない。

 大綱の見直しは第2次安倍政権発足以降2回目だ。前回2013年は武器輸出三原則の見直し方針も表明し、禁輸政策を転換する防衛装備移転三原則に改めた。その後、集団的自衛権の行使を容認する安保法制も数の力で成立させた経緯がある。

 今回の大綱見直しもそうした流れの一環とみることができる。国の基本姿勢の転換になりかねず、国民に対してもっと誠実に、丁寧に説明すべきだ。

 新大綱には「他国に脅威を与える軍事大国にならない」と明記されている。そうであればなおのこと、力だけに頼らない、対話重視の平和戦略に、政府は知恵を絞らねばならない。

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