社説

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 「民主主義の学校」と呼ばれる地方自治の足元が揺らいでいます。首長と議会は「車の両輪」ですが、特に議会への関心が急速に失われているのです。

 各地の議員選挙で投票率が著しく下がり、最低を更新するところが増えています。議員のなり手不足も深刻で、無投票となるところも少なくありません。

 このままではいけないと、兵庫県内の議会の中で新しい動きが出てきています。

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 かつて播州織で栄えた西脇市は現在、人口4万人の地方都市です。東経135度と北緯35度が交差する「日本のへそ」から話を始めましょう。

 列島を猛暑が襲った昨年7月。西脇高校など市内の3高校で、市会議員と高校生が顔を合わせました。高校生に向けた議会報告会です。生徒の代表が出たり、1学年が全員で参加したりしました。

 市民の提案実現へ

 「30年後の西脇」をテーマにグループで話し合います。高校生たちは課題や要望を書き出し、自分たちの意見をまとめ上げました。最終的に「きれいなまちの条例」制定や出産費用の無償化などが提案されました。

 大切なのはここからです。議会は高校生の提案を常任委員会で議論し、実現に向け取り組むことにしているのです。

 単なる意見を聞くだけにとどめないことが、議会に目を向けさせ、ひいてはまちの将来に責任を持つきっかけになる。そんな狙いを持っています。

 自治会に対しても同じような仕組みをつくりました。80の自治会すべてを2年間で議員が回り、市に政策として提案する。

 こうした経緯は報告書や議会だよりにまとめられ、市民へフィードバックしています。

 参加した市民のアンケートでは、ほとんどが「もっと意見を深めたい」「議会にどう生かされるか興味を持った」などと、肯定的に捉えていました。

 本会議や委員会の質疑はインターネットで公開しています。珍しいのは、会議の段取りなどを話し合う議会運営委員会や全員協議会も、ネットでオープンにしていることです。

 また、定例議会が終わると、反省会を催します。「あの一般質問の仕方はおかしい」「こんな言葉遣いはしない方がいい」などと、議員同士が忌憚(きたん)のない意見を交わします。これさえも、市民はいつでもネットで見ることができるのです。

 一連の改革について林晴信議長に真意を尋ねました。「議会ファンを増やしたい」。そこには現状への危機感があります。

 前々回の市議選は無投票、前回は過去最低の投票率でした。その上、下位の4人が法定得票に届かず、当選者は定数16を下回る15人にとどまったのです。

 まず議会を変えなければ、市民の関心は高まらない。思いは議員に広がり、改革が進んできました。今では「議会を応援したくなった」という声も聞かれるようになり、林議長は手応えを感じているようです。

 女性の風が吹いた

 昨年6月の加古川市議選で、“異変”が起きました。女性が6人当選し、しかも上位4番目までを独占したのです。議員の2割が女性になりました。

 トップ当選した井上恭子市議は、組織も全くない中、手探りで選挙に臨みました。

 女性の進出に「生活に根ざした訴えが身近に感じたからでは」と話します。自身の公約は学校給食の早期実現で、女性が反応していたと振り返ります。

 議員のなり手不足には、女性の進出が期待されています。「政治分野の男女共同参画推進法」ができ、男女の候補者数の均等化を政党に求めています。

 女性が議会で活動するためには、産休・育休の制度化も進めねばなりません。なにより男性の理解が欠かせません。こうした「壁」を少しずつ壊していくことが必要になっています。

 議会がなくても市長や町長がいれば、行政は動きます。道路の補修やごみの収集などは滞りなく行われ、暮らしを継続することができます。

 しかし、首長が自分勝手に“暴走”しても、次の選挙まで止められません。それができるのが議会です。首長の政策をチェックする力を、選挙で有権者から与えられているのです。

 ところが、肝心の有権者の多くが議会に目を向けなくなっています。

 春には統一地方選があります。私たちの暮らしは、私たちが決める。そのためには、選挙に無関心でいるわけにはいきません。次の世代のためにも。

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