社説

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 料金値下げや規制緩和を議論する政府の審議会の委員が、業界団体や企業から多額の寄付を受けていた。ただちに違法性はないとはいえ、議論の中立性が揺らぎかねない問題である。

 審議会の議論は国民生活に大きな影響を与える。それだけに、疑念を抱かれないよう透明性を高めることが求められる。

 政府の審議会は、法律や国の制度について、学識経験者や専門家が議論するため設置されている。2017年8月時点で、各省庁に計129ある。

 寄付が明らかになったのは、携帯電話の料金値下げをテーマとする総務省の審議会委員8人と、都市ガスの規制緩和を議論する経済産業省の審議会の3人で、全員が大学教授だ。金額は、就任前を含め計8千万円に上っている。

 寄付を受けた委員は、「審議は中立、公平を信条としている」「特定の企業に有利になる発言はしていない」などと、影響を否定している。

 企業側は「対価を求めていない」とするが、自社や業界に有利になるよう議論を誘導する思惑がないとはいえないだろう。

 原発の再稼働を審査する原子力規制委員会の委員は、在任中に原子力事業者から寄付を受けられない。中立、公平性が求められるだけに当然だ。他の審議会も準ずるべきではないか。

 大学教授が企業側から寄付を受ける背景には、大学の研究費が少なくなっていることがある。企業などの資金に頼る比重が高まり、寄付金を多く受け入れることが研究者の評価指標にもなっているという。国が一定の支援をするなど、学術振興に向けた環境の改善が必要だ。

 今回は、国立大学に所属する委員に関して、共同通信社の情報公開で判明した。私立大学や民間企業に所属する委員については分からないのが実情だ。

 委員の中には、公正さを確保するため自ら寄付を公表している人もいる。利害関係のある企業・団体からの寄付や報酬に関する情報を開示し、透明性の高い制度を検討するべきだ。

 総務省は、委員への金銭支援を把握しておらず、ルール作りも考えていないという。影響を軽く見ているのであれば、認識を改めねばならない。

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