社説

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 旧優生保護法下で不妊手術を強制された被害者への一時金支給を柱とする救済法がきのう、国会で可決、成立した。

 多大な苦痛に対する「反省とおわび」を明記し、本人が手術に同意したケースも事実上の強制とみなして救済対象とする内容だ。与野党が法案を一本化し立法化にこぎ着けた。

 各党、とりわけ与党には参院選前に解決姿勢を打ち出したい思惑があったのだろう。

 法改正で「優生手術」の規定が削除されてから23年がたち、高齢の被害者も少なくない。救済が実現したことは前進だ。

 ただ、神戸地裁など全国7地裁で被害者らが国家賠償訴訟を起こしているが、国は「当時は適法だった」と争う姿勢を崩していない。それでは救済法の趣旨と矛盾するのではないか。

 救済法では「反省とおわび」の主体は「われわれ」とされている。「それぞれの立場において」反省することで、責任の所在を曖昧にした形である。

 安倍晋三首相は「二度と繰り返さないよう、政府として最大限の努力を尽くす」との談話を発表した。その言葉を実行するためには、国の法的な責任をまず明確にする必要がある。

 一方、救済法は国会にも問題の経緯を調査するよう求めている。衆参両院で謝罪決議を行う案も検討されているが、その調整は進んでいない。

 国賠訴訟は、5月28日に仙台地裁で初の判決が言い渡される。同じく被害者らが賠償を求めたハンセン病訴訟では、当時の小泉政権が国の責任を認めた司法判断を受け入れ、控訴を断念した。国会も謝罪決議を行い、議員立法で補償法を成立させた経緯がある。

 今回も、その例に倣って被害者が納得できる方策を講じなければならない。一律320万円の一時金の額も、訴訟の請求額とは開きがある。被害に応じて柔軟に見直すべきだろう。

 国会も自ら謝罪決議を行い、立法府の立場で事実の検証に乗り出す責任がある。

 この問題では、全国に先駆けて「不幸な子どもの生まれない県民運動」を展開した兵庫県のように、都道府県も深く関与した。当時の自治体の対応を検証する取り組みも欠かせない。

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