社説

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 スポーツ障害の中で、しばしば問題になるのが投手の肩や肘の故障だ。日本高野連は元プロ野球選手や整形外科医、弁護士ら13人からなる「投手の障害予防に関する有識者会議」を発足させ、投球数制限の検討を始めた。11月中に答申を受ける。

 特に注目度の高い高校野球では、投げすぎによる故障予防の必要性は早くから指摘されてきた。野球人口が減る中、球児たちの健康を守り、長い目で才能を育もうとする取り組みは球界の将来にもつながる。選手本位の視点で議論を尽くし、あらゆる可能性を探るべきだ。

 事態を動かしたのは、新潟県高野連が今春の県大会で、投手は100球を超えたイニングで降板するルールを全国に先駆けて導入する、と表明したことだった。日本高野連の再考要請を受けて見送りはしたが、現役プロ野球選手や鈴木大地スポーツ庁長官らが新潟の試みを評価し議論を促した。一石を投じた意義は大きい。

 ただ、結論を導くのは簡単ではない。投球数制限を巡っては、部員が少なく複数の投手をそろえられないチームに不利との懸念が根強い。半ば強制的に交代させるのは選手の思いに反する場面もあるだろう。

 新潟県では早くから競技団体が小中学生も含めた故障予防に取り組んできた。県内校の約3分の2が導入に肯定的という調査結果も踏まえての挑戦だった点を考慮する必要がある。

 日本高野連は、1県だけに特例を認めるのは好ましくないとして待ったをかけた。だが、全国大会につながらない春季大会ならば各県の判断で試行を認めてもいいのではないか。その成果と課題を検証し、議論に生かすことも考えられる。

 日本高野連は、選手の健康管理を目的に昨春の選抜大会からタイブレーク制を導入した。昨年の加盟校調査で他に必要な対策を聞いたところ、「投手の負担軽減策」は12・1%にとどまった。最多は「大会日程の緩和」の54・5%、次いで「選手枠の増加」の23・3%だった。

 球数制限にとどまらず、指導や大会運営のあり方を含めた改革が求められている。ファンが多い高校野球だけに、オープンで多角的な議論に期待したい。

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