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 米国と中国の貿易協議に、暗雲が垂れ込め始めた。トランプ米大統領が5日、中国からの輸入品への追加関税率を現行の10%から25%に引き上げると表明したのだ。10日に発動するという。協議の進展が「遅すぎる」というのが理由だ。

 米中の摩擦が激しくなれば、世界経済に大きな影響を与える。そのことを首脳同士が十分認識した上で、冷静に着地点を探らねばならない。

 米中首脳は昨年12月、協議開始で合意したが、当初3月1日だった期限は2カ月以上もオーバーした。ようやく4月末に閣僚級協議が北京で開かれ、トランプ氏自身も習近平国家主席が「近く(ホワイトハウスを)訪れるだろう」と、交渉の順調さをアピールしていた。

 すでに両国は多くの論点で合意し、残る課題は現行の追加関税の扱いなどに絞られていた。大詰めを迎え、中国側が技術移転の強要を禁じる事前合意を撤回したとの情報に、トランプ氏が激怒したとされる。

 8日には米ワシントンで2回目の閣僚級協議が予定されていた。そのタイミングでの追加関税の表明は、相手を脅して有利な内容を引き出そうとするトランプ流交渉術との見方もある。

 ただ、中国側が要求を受け入れる保証はない。劉鶴副首相が9日に渡米し協議に臨むが、暗礁に乗り上げれば、協議そのものが決裂する可能性がある。

 トランプ氏は来年の大統領選に向け、貿易赤字を減らす具体的な成果を上げようと躍起になっている。交渉決裂のリスクまで織り込んで強硬姿勢に転じたのか、疑問が残る。

 6日のニューヨーク市場では株価が一時400ドル以上も下落した。10連休後初の取引となったきのうの東京市場も300円以上の下落となった。協議の先行きを楽観視していた市場の空気は変わり始めている。

 米国が実際に対中関税を引き上げれば、中国経済が減速し日本の景気にも大きな影響が及ぶ。その負担は、中国製品を購入する米国の企業や消費者にもはね返る。

 市場の懸念は米国経済の落ち込みにも向けられていることを、トランプ政権は改めて認識するべきだ。

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