社説

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 10連休のさなか、天皇陛下は皇后さまとともに皇居で初の一般参賀に臨まれた。

 それに先立つお言葉では「国民に寄り添いながら象徴の責務を果たす」と述べられた。戦没者慰霊と被災地訪問を重ねた上皇さまの歩みを受け継ぐ考えも明らかにされている。

 そうした姿勢に共感したのだろう。共同通信社の世論調査では、82・5%が陛下に「親しみを感じる」と答えた。

 皇室が国民と思いを深く共有してこそ、象徴の存在は重みを増す。多くの国民がそう感じているのではないか。

 残念なのは、男性の皇族が減る中で、皇室存続の問題と真剣に向き合おうとしない、安倍政権の姿勢である。

 皇室典範は、父方に天皇の血を引く「男系男子」にのみ皇位継承を認めている。現在の継承資格者は秋篠宮さまと悠仁さま、常陸宮さまの3人だけだ。

 上皇さまの弟の常陸宮さまは83歳とご高齢で、秋篠宮さまも陛下とさほど年齢が違わない。一方、女性皇族は結婚すれば皇室を離れていく。

 このままだと、皇位継承資格者だけでなく、皇族が悠仁さま1人になる可能性がある。複数の皇族で分担されている公職や公務も継続が困難となる。

 小泉内閣の有識者会議は2005年、女性・女系天皇を認める報告書をまとめた。野田政権は女性皇族が結婚後も皇室に残れるよう「女性宮家」の創設を検討し、当面の危機に対応しようとした。

 これに比べて安倍政権の姿勢は消極的というほかない。

 生前退位を可能とする皇室典範特例法が2年前に成立した際、代替わり後、政府が安定的な皇位継承策や女性宮家創設などを速やかに検討し、国会に報告するとの付帯決議がなされたが、検討は進んでいない。安倍晋三首相の支持基盤である保守層の反対が根強いためだ。

 しかし先の世論調査では8割が女性天皇を認めており、国民の意識の方が先行しているといえる。「男系の維持にこだわれば皇位世襲という最も基本的な伝統を危うくする」とも有識者の報告書は指摘した。何を伝統として守り、何を変えるのか、議論を加速させる時だ。

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