社説

  • 印刷

 官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が筆頭株主の中小型液晶パネル大手・ジャパンディスプレイ(JDI)は、中国と台湾の企業連合の傘下入りを決めた。5年連続の赤字が見込まれ、約800億円の支援を受ける。

 もともと日立製作所、東芝、ソニーが手がけていた事業を政府主導で統合し、「日の丸液晶連合」を掲げて発足したのがJDIだ。INCJは出資や融資など約4千億円を注ぎ込んだが経営改善に至らなかった。日本の液晶産業は事実上消滅する。

 支援の見返りに中台連合には、有機ELの技術を差し出す。液晶より高精細で、今後の成長が見込める分野だ。

 巨額の公金を注ぎ込みながら、結果的に日本の強みを流出させた。政府と経営陣は責任を重く受け止めねばならない。

 JDIの不振は、スマホ向けパネルで中国メーカーなどとの価格競争に敗れたのが要因だ。米アップル社の「iPhone」向けへの依存度を高め攻勢に転じようとしたが、新製品の低迷で打撃を受けた。

 国策再編で生まれた企業の窮状が続く。2009年に日本政策銀行が投資したエルピーダメモリは破綻した。13年に革新機構が出資したルネサスエレクトロニクスは従業員削減などリストラを続けているが、業績は振るわない。

 いずれも半導体を扱い、JDIと同様にIT関連業界に製品を納める。スピードが重視される業界だけに、生き残るには資金力とともに迅速な経営判断が求められる。

 企業の寄り合い所帯である上に国も関わるのでは、意思決定に時間を費やし他社に後れを取るのも当然といえる。

 共通するのは、日本を代表する企業の事業を統合した点だ。大手が抱えきれないのに公金を投じる以上、救済自体が目的では国民の理解は得られない。

 かつて半導体や液晶は、日本のお家芸とされた。アジア勢に追い抜かれたいま、重要なのは今後の発展が見込める分野に資金や人材を投入することだ。

 「日の丸」の栄光や過去の実績にこだわっていては、次代の芽は育たない。その点を政府は十分に認識するべきだ。

社説の最新
もっと見る

天気(6月25日)

  • 30℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 31℃
  • ---℃
  • 0%

  • 32℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ