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 イランのロウハニ大統領が、欧米など6カ国と交わした核合意の履行を一部停止する方針を表明した。1年前にトランプ米大統領が核合意から一方的に離脱し、イラン産原油の全面禁輸など制裁を再開したことへの報復措置としている。

 これに対しトランプ氏は、制裁を金属類の取引にも拡大する方針を決め、「イランが行いを改めなければ、米国はさらなる行動を取る」とけん制した。

 敵対的な措置の応酬は、中東情勢をさらに不安定化させかねない。両国には自制的な振る舞いが求められる。

 国際社会にとって最大の懸念は、米国以外の締結国で何とか維持されてきた核合意が破綻の瀬戸際に立たされたことだ。

 オバマ米前政権下の2015年に結ばれた核合意は、イランが核開発を大幅に制限する見返りに欧米が制裁を解除する内容だ。「歴史的な合意」とされ、イランもこれまで全面履行し中東の安定に道を開いてきた。

 だが、トランプ氏はミサイル開発の制限が含まれないことなどを理由に離脱に踏み切った。原油、自動車、金融部門などで制裁を次々に繰り出し、再交渉を迫っている。これによってイラン経済は大きな打撃を受けており、イランの今回の判断は苦渋の選択といえよう。

 ロウハニ師は、取引の継続を求め、今後60日間で欧州などとの交渉に進展がなければ、核兵器の原料になる高濃縮ウランを製造するとも警告した。現段階では核合意から離脱する意思はないとするが、苦し紛れに合意の義務を放棄すれば頼みの綱の欧州などからも猛反発を買うことを覚悟せねばならない。

 トランプ政権は、国際社会の批判をイランに向ける狙いだろう。先月には同国の革命防衛隊をテロ組織指定したほか、今月に入り、中東に駐留する米軍が攻撃される恐れがあるとして、原子力空母や爆撃機の派遣も発表した。

 偶発的な事故が軍事衝突に発展しかねない状況にある。

 核合意の崩壊は、世界の平和を揺るがしかねない。日本は米国、イラン双方と友好関係にある。欧州各国とも連携し、対話を通じた核合意の破綻回避に向けて尽力すべきだ。

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