社説

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 アフリカ中部のルワンダで、大虐殺が起きたのは25年前のことだ。民族同士の対立が要因となり、100日ほどの間に人口の1割以上が犠牲となった。

 民族や宗教などを理由とした差別や対立は、世界各地に見られる。移民などへの排外主義も広がっており、集団の暴力を生む土壌は今も根強くある。

 悲劇を繰り返さないため、ルワンダの歴史を私たちも胸に刻みたい。

 1994年4月6日、ルワンダの多数派であるフツ人の大統領を乗せた航空機が撃墜されたことが、大虐殺の引き金となった。フツ人主体の政府軍や民兵が、少数派であるツチ人や、同じフツ人の穏健派などの市民を襲撃した。

 民兵が隣人を次々と襲ったのは、ラジオ放送に扇動されたからだ。フェイク(偽)ニュースが社会を混乱に巻きこむ恐ろしさは、インターネットが発達した今の社会も無縁ではない。

 国民同士の対立を生んだ根底には、植民地時代に支配したベルギーの民族分断政策がある。今も絶えない中東やアフリカの地域紛争はかつての宗主国に責任の一端があることも、国際社会は直視すべきだ。

 現在のルワンダは治安を回復し、安定を保っている。民族対立も影を潜めた。情報通信技術(ICT)分野を中心に著しい成長を遂げ、高層ビルが立ち並ぶ首都キガリの姿は「アフリカの奇跡」とも称される。

 最も関係の深い自治体の一つが神戸市だ。久元喜造市長がルワンダを視察したほか、起業を志す学生らを派遣する事業にも取り組んだ。ICTを生かした社会課題の解決はルワンダと神戸に共通するテーマである。連携を深め、発展につなげたい。

 虐殺後に就任したカガメ大統領は追悼式典で、「恐怖と怒りは、前に進もうとするエネルギーに取って代わられた」と述べた。ルワンダ国民は忌まわしい過去を克服し、新たな国づくりへの歩みを重ねている。

 一方で、虐殺後に生まれた世代が人口の約6割に達し、記憶の継承が課題となっている。国際社会は安定が続くよう後押しするとともに、貴重な教訓や経験を世界全体で共有し、伝えていく必要がある。

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