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 米国と中国の閣僚級貿易協議で具体的な成果が出ず、トランプ米政権は中国からの輸入品2千億ドル(22兆円)分への追加関税率を引き上げた。全ての輸入品への拡大も検討している。

 知的財産権の侵害などの構造改革問題で中国が「約束を破った」として、圧力を強める狙いだ。中国も報復関税を決め、対立は深まっている。

 報復合戦に陥れば国際社会の混迷は深まり、世界経済にも大きな影を落とす。米中は歩み寄る余地を見いだし、合意を模索しなければならない。

 最大の争点となっている構造改革問題は、製造業で覇権を狙う中国の国家戦略に深く関わる。貿易協議は両大国の覇権争いと化しており、対立を解消するのは容易ではない。

 中国は米国の追加関税を受け、「決して譲らない」とする争点を明確にした。知的財産権の保護でいったん合意した内容の修正など3点だ。劉鶴副首相は「国家の尊厳」に関わると強調し、米国の主張を主権侵害と批判した。

 ただ、自由貿易のメリットを得る以上は、競争条件を公正にすることが不可欠である。

 知的財産権に加え国有企業への補助金など、中国の構造改革問題には日本や欧州も厳しい目を向けてきた。持続的な発展には国内改革が避けて通れないことを中国は直視すべきだ。

 一方、トランプ政権の強気の裏には来年の大統領選が透けて見える。中国からの輸入拡大を実現して支持者に成果を示さねばならない事情がある。冷静な交渉が可能か疑問を抱く。

 中国側には、交渉が長引けば関税引き上げによる米国側の損失が増え、トランプ氏に不利になるとの読みがあるようだ。

 しかし中国に進出した企業が関税を嫌って他国に流出するリスクも考えれば、得策とはいえないのではないか。

 トランプ政権の高官は、6月の大阪での20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせ米中首脳が会談する可能性が高いとの見方を示した。中国に妥協をうながすメッセージと受け取れる。

 対立が続くようでは円滑な首脳会合は望めない。日本は議長国として、米中に関係改善を強く働きかける責務がある。

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