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 内閣府は3月の景気動向指数を発表し、国内景気の基調判断を「悪化」に引き下げた。景気後退の可能性が高いことを意味している。この判断に至ったのは欧州債務危機が拡大した2013年1月以来となる。

 主因は中国向け輸出の落ち込みだ。米中貿易摩擦を受けて中国の景気が減速し、電子機器の需要が冷えこんだ。米中は報復関税の応酬に陥り、関係好転は見通せない。

 国内の実質賃金は3カ月連続のマイナスとなった。消費が力強さを欠くのも当然だろう。

 景気の先行きは不安要素が山積する。政府は経済の実態変化を注視し、下振れリスクへの警戒を強める必要がある。

 景気動向指数は生産や出荷、雇用などの指標から機械的に算出する。ここ10年ほどで「悪化」の判断は欧州債務危機と、08年から09年にかけてのリーマン・ショックの際に限られる。

 政府は公式の景気認識を、今月末の月例経済報告で示す。年初には景気拡大が戦後最長になったとし、これまでも「回復」の文言を残してアベノミクスの成果を誇示してきたが、トーンダウンは避けられない。

 菅義偉官房長官は追加の経済対策実施に含みを持たせた。だが、日銀の金融緩和は手詰まり感があり、巨額の債務を抱え財政出動も容易ではない。アベノミクスの限界を認めた上で、効果的な手法を探るべきだ。

 10月には消費税増税が控える。菅氏は「リーマン・ショック級の出来事」がない限り実施するとの発言を繰り返しているが、与党内には景気後退なら延期すべしとの声が出始めた。

 安倍晋三首相は増税延期を大義名分に衆院解散に踏みきり、与党が圧勝した経緯がある。それを踏まえ、7月の参院選との同日選に持ち込む思惑も透けて見える。

 ただ、今回の景気動向指数の水準自体はリーマン・ショック時を大きく上回っている。

 幼保無償化やポイント還元など、増税を前提にした政策は動き始めている。国民生活に密接に関連する。財政健全化も急務である。

 それらの先送りが必要なほど深刻な状況なのか。政局に絡めず慎重に見極めねばならない。

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