社説

  • 印刷

 2020年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け国連本部で開かれていた準備委員会が、会議のたたき台となる勧告案の採択を見送って閉幕した。軍縮努力などを巡り、核を持つ国と持たない国が激しく対立したためだ。

 NPTは運用状況を点検するため5年ごとに再検討会議を開く。前回15年は、成果をまとめる最終文書を採択できなかった。2回連続で決裂すればNPT体制の形骸化は免れない。世界の核軍縮は正念場に立った。

 現存する核弾頭は推計約1万4千発にのぼる。冷戦時より8割以上減ったとされるが、世界を何度も滅ぼす威力を持つ。

 その量を減らし、さらには廃絶へと歩みを進めるのが人類の未来に不可欠であることを、保有国は改めて認識しなければならない。

 1970年に発効し、約190カ国が加盟するNPTは、核軍縮などで中心となる国際的な枠組みだ。核兵器の保有を米ロ英仏中の5カ国に限定し、核軍縮についての交渉義務を課している。

 保有国が近年その義務を怠り、核軍縮が停滞していることが、非保有国との亀裂を深めている。2017年に核兵器禁止条約が採択されたのも、多くの非保有国が危機感を募らせている証しと言える。

 軍縮を先導するのは、世界の核弾頭の9割超を握る米国とロシアの責務だ。しかしロシアによるウクライナへの軍事介入や米大統領選への干渉疑惑などで両国関係は悪化し、米トランプ政権はロシアに中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を通告して緊張を高めている。

 核軍縮どころか、両国は安全保障環境の変化を理由に核開発に前向きな姿勢すら示す。NPTが米ソの冷戦下で生まれたことを思い起こすべきだ。核不拡散は両国にとって共通の利益であるとの認識に、今こそ立ち返らなければならない。

 来年はNPT発効50年の節目にあたる。再検討会議を核兵器削減への実効的な内容とするために、唯一の被爆国である日本が保有国と非保有国の真の「橋渡し役」を果たすべきだ。保有国に対して、強く再考を迫る必要がある。

社説の最新
もっと見る

天気(9月18日)

  • 30℃
  • ---℃
  • 20%

  • 28℃
  • ---℃
  • 20%

  • 29℃
  • ---℃
  • 20%

  • 29℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ