社説

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 国会議員として断じて許されない発言である。

 日本維新の会に所属していた丸山穂高衆院議員=大阪19区=が、北方領土返還問題について「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと元島民に問い、抗議を受けて謝罪後に発言を撤回した。

 戦争による領土奪還を容認していると受け止められても仕方がない。失言の域を超え、撤回では済まない問題だ。

 戦争放棄を定めた憲法の理念を踏みにじり、憲法を尊重し擁護する自分の義務も立場も理解していない。そんな人物に国会議員の資格はない。一刻も早く自ら国会を去るべきだ。

 罪深いのは、北方領土へのビザなし交流訪問での発言だったことだ。交流事業は北方四島のロシア人住民と日本人が相互理解と友好を深める目的で1992年から続いている。

 衆院沖縄北方問題特別委員会委員として同行した丸山氏は国後島の宿舎で酒に酔い、元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問した。

 団長は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返答したが、丸山氏は「でも取り返せないですよね」とたたみかけた。自らの考えではなく「一般論だ」とする釈明は説得力に欠ける。

 戦争で住み慣れた土地を追われた人々の苦難や、長い時間をかけて草の根の信頼関係を築いてきた努力を思えば、こんな言葉は出てこないはずだ。元島民を失望させたばかりか、難航しているロシアとの返還交渉でマイナス材料になりかねない。

 政治家の究極の務めは、戦争を避けて国民の生命や財産を守ることだ。日本の国会に、戦争を容認する意見が存在していると国際社会に疑われるような事態は避けねばならない。

 丸山氏は、禁止されているのに宿舎から外出しようとしたり、大声で騒いだりしたという。過去にも飲酒トラブルを起こし禁酒を宣言していた。35歳の元エリート官僚は、何を志して政治家になったのだろう。

 維新は丸山氏を除名し、辞職勧告決議案が提出されれば賛成する方針だ。本人にその意思がないなら、国会の責任で辞職勧告を決断するしかない。

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