社説

  • 印刷

 米国やカナダ、欧州諸国で構成する軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)が創設70年を迎えた。ワシントンでは外相理事会が開かれ、結束に揺るぎがない点を強調した。

 だが実態は、トランプ大統領の自国第一主義で米欧の間の溝が深まるばかりだ。

 一方で欧州と接するロシアは、5年前のクリミア編入が示すように力を背景にした強硬姿勢を変えようとしない。

 NATO発足は、冷戦下のソ連の脅威に米欧が対抗する狙いがあった。参加国の結束で国際社会の安定を保とうとした原点に、各国は改めて立ち返ってほしい。

 加盟国間のあつれきを招いている大きな要因は防衛費負担だ。トランプ氏は「米国に集中し、不公平だ」と述べ、他の加盟国に負担増を迫っている。NATO離脱の可能性も示唆していたとされる。

 NATOは米国の主張に一定の理解を示し、2024年までに加盟国の防衛費を国内総生産(GDP)比2%にする目標を掲げたが、4%を求めたトランプ氏は矛を収めていない。

 欧州の安全保障に強い影響力を持つ米国が加盟国に強硬的な態度を取れば、不信感を増長し、同盟関係を弱体化させかねない。結果としてロシアを利することになる。その点をトランプ氏がどれだけ認識しているのか疑問を抱く。

 イランの核兵器開発を阻止する核合意への対応にも溝がある。米国は昨年5月、ミサイル開発の制限が含まれていないことなどを理由に離脱したが、欧州は合意を支持し続けている。

 トランプ氏の態度は中東の対立をあおりかねず、無謀と言わざるを得ない。

 計12カ国で発足したNATOは、冷戦終結後に東欧諸国が加わり29カ国体制となった。ソ連崩壊後は、旧ユーゴスラビアのコソボ紛争介入など活動の中心を地域の安定に移した。存在感は今も薄れていない。

 だが米欧の足並みの乱れが深刻化すれば機能不全に陥り、世界全体の安全保障に影響する事態も起こりうる。

 日本は欧州各国とともに、トランプ氏にNATO結束の重要性を訴え続けるべきだ。

社説の最新
もっと見る

天気(6月27日)

  • 26℃
  • 23℃
  • 80%

  • 29℃
  • 22℃
  • 60%

  • 27℃
  • 23℃
  • 80%

  • 27℃
  • 23℃
  • 80%

お知らせ