社説

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 南海トラフ巨大地震に備え、政府は自治体や企業が取るべき対応の指針をまとめた。中央防災会議の報告を受けた措置で、津波被害が想定される沿岸地域の住民に1週間の「事前避難」を促すことが柱となる。

 事前避難は、東西に長い震源域の半分でマグニチュード(M)8級の地震が起きる「半割れ」のケースを想定している。まだ被害が及んでいない残り半分の地域の住民をあらかじめ安全な場所へ移動させ、逃げ遅れを防ぐのが狙いだ。

 これまでの巨大地震対策は予知が前提だったが、政府は2017年、確度の高い予測は困難と認め、大規模地震対策特別措置法を40年ぶりに見直した。事前避難は、予知に頼らない減災対策への一歩といえる。

 兵庫県内を含め南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されている29都府県707市町村は、事前避難を促す地域を指定するなど、指針の内容を20年度までに防災計画などに反映させることになる。

 だが、課題は多い。

 後発地震が発生するかどうか分からない中で住民生活を制限することになるため、「空振り」を懸念する自治体は少なくない。命を守るには空振りもやむを得ないという考え方を住民と共有できるかが鍵となる。

 事前避難所が確保できない場合や費用負担への国の対応が曖昧な点も気がかりだ。

 指針は、市町村の避難所には限りがあるとして、知人や親類宅への避難を前提とし、食料も自ら確保するよう求めた。学校や仕事への影響も避けられず、住民の負担は大きい。声を聞き、地域の実情に応じた避難計画をつくらねばならない。

 事前避難所の開設費用を巡っては、内閣府が自治体向け説明会などで、大半を国が負担する方向で検討する考えを示した。財政的理由で自治体が対応をためらうことのないよう、国の責任を明確にすべきだ。

 企業に対しては住民生活への影響などを考慮し、「できる限り事業を継続することが望ましい」と求めた。

 住民も地域の危険度を把握し行動に移す意識が欠かせない。いま一度、自然災害への関心を高め、備える機会としたい。

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