社説

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 民放連が、2028年度までにラジオのAM放送を廃止し、FM放送に転換できるよう総務省に制度改正を求めた。

 送信用アンテナが高さ100メートル近くに達するなど、AM放送はFMより大規模な設備がいる。各局とも経営は厳しく、老朽設備の更新も容易ではない。

 すでに多くのAM局がFMでも放送する「ワイドFM」を実施しており、改正が実現すれば一部地域を除いてAM放送がなくなる可能性がある。

 インターネットが普及しても大規模災害などの際には地上波のラジオが情報の受発信に重要な役割を果たす。その役割が持続できる制度設計を、官民で慎重に検討してほしい。

 FM放送はAMより音質が良い上、電子機器や建物の影響を受けにくく、屋内でも受信しやすい。総務省は災害対策などとしてAM局がワイドFMを始める際の費用を補助している。

 一方メディアの多様化に押され、全国47AM局の営業収入はピークの1991年度から6割以上も落ち込んでいる。FM一本化には、負担を減らしたい局側の狙いもうかがえる。

 問題は、聴取者への影響だ。ワイドFMは、テレビの地上デジタル化で空いた周波数を使っており、従来のラジオでは聞けない場合が多い。地デジ化の際と同様、各局がAMをやめれば買い替えを迫られることになる。ラジオ離れを加速する結果にもなりかねない。

 ラジオを災害時の情報伝達手段とするには、総務省は廉価製品の開発や専用受信機の配布を促すなど、聞く側の不利益にならない方策も練るべきだ。

 ただFMの電波が届く範囲はAMより狭い。北海道などではFMだけでカバーし切れず、地域特性を踏まえたAM放送の維持策も考える必要がある。

 時間や場所を問わずスマホで番組が聞けるアプリ「ラジコ」の登場を機に、AM各局はネットとの連動や局の壁を越えた番組制作など、ラジオの新たな可能性に挑んでいる。

 非常時だけでなく、日ごろから親しんでこそラジオは災害時に威力を発揮する。各局が魅力的な番組を作り、ひとりでも多くリスナーを増やすのも、立派な防災対策である。

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