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 特定秘密保護法の施行から今年12月で5年になる。運用基準を見直す時期に当たり、衆院の情報監視審査会が政府に対応を促す意見を公表した。

 この法律は、安全保障に関する機密を漏らした公務員らに厳罰を科す内容を含む。実際に処罰された例はないが、国民の「知る権利」や報道の自由を侵害する懸念が指摘されている。

 安倍政権が野党や世論の反対を押し切って成立させた経緯があり、議論を尽くして国民の理解を得たとは言い難い。

 制度上の最大の不備は、秘密指定の恣意(しい)的な拡大など乱用への歯止めが不十分なことだ。国会が監視の責務を十分に果たすためには、この機会に抜本的な見直しを図らねばならない。

 秘密指定の対象は、外交や防衛などで特に秘匿が必要とされる情報だ。公務員の漏えい罪には最高で懲役10年が科される。民間企業の従業員や教唆した人も処罰対象となる。

 ただ、「何が秘密か」は所管の大臣など行政機関の長が決める。政府の保全監視委員会や独立公文書管理監などが目を光らせる仕組みもあるが、行政内部のチェックにとどまる。

 一方、政府は国会に運用状況を毎年報告する義務を負う。衆参両院の監視審査会は意見・勧告を行える。しかし強制調査などの権限はなく、どこまで実情に迫れるかは疑問だ。

 対象文書がないのに情報の項目だけを秘密指定する「あらかじめ指定」が衆院の審査会で問題視されたのは2年前である。政府が指定した特定秘密の4割を占めていた。

 こうした動きが広がれば、都合の悪い情報の隠蔽(いんぺい)に悪用される恐れもある。審査会が「法の基本理念から外れた運用」とくぎを刺したのは当然だ。

 政府は改善を約束したが、その後も保存期間の短い秘密文書が国民の目に触れないまま大量に廃棄されている実態が明らかになった。国会は厳格な運用基準を求めるだけでなく、秘密指定が妥当かどうか、文書の中身も精査する必要がある。

 秘密を指定する側が大きな裁量権を持つ今の制度では、乱用の危険はなくならない。開示を命じる権限を国会に持たせるなど、透明性を高めるべきだ。

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