社説

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 地球の自然破壊の危機的状況に警鐘を鳴らす報告書だ。

 国連の科学者組織「IPBES」が、人の活動で地球の生態系が急激に失われ、100万種が絶滅の危機にひんしていると発表した。生物多様性と人が受ける恩恵を科学的に評価する国際機関で、地球規模の総合的な評価は初めてとなる。

 自然破壊の主因は食糧とエネルギー目的の開発にある。その両方の輸入大国である日本など先進国の責任は非常に重い。

 発展途上国にも広がる大量消費型の経済が地球を前例のないペースで衰退させている。その現実を知り、ライフスタイルから抜本的に変える行動を始めねばならない。

 世界の人口増加とともに森林は急速に伐採され、2000年までの20年に熱帯林は1億ヘクタール失われた。湿地は85%が消失し、海洋は66%が人の活動の影響を強く受け、水産資源の乱獲が懸念される。

 動植物の種の絶滅は、過去1千万年の平均と比べて数十~数百倍の速さで進んでいる。

 農業で大きな環境負荷要因になっているのが牛肉生産だ。肉1キロの生産に10倍以上の飼料が要る。食糧や飼料になりうる農作物を原料に使うバイオ燃料の増産も森林破壊につながっている。こうした流れに歯止めをかけねばならない。

 大規模農業で大量使用する農薬と化学肥料の影響にももっと目を向ける必要がある。昆虫のほか、土を肥やす微生物に甚大なダメージを与えている。IPBESは土壌劣化と農地の生産性低下を指摘する。石油に依存する農業は温暖化の要因であることも忘れてはならない。

 豊かな土壌と生態系の再生には、資源循環型農業などの普及が欠かせない。

 日本は海外で生産される大量の食糧とエネルギーを使う一方で、国内の農地と資源を荒廃させている。広大な遊休農地や森林を有効利用するのが地球の一員としての義務ではないか。

 農業や食品産業で生じる膨大な有機物のごみからバイオガスと液体肥料を作る事業や、放置された間伐材の燃料利用を進める。人の営みを自然と調和させる資源・エネルギーの技術と仕組みをまず国内に広げたい。

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