社説

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 トランプ米大統領がきょう、改元後初の国賓として来日する。天皇、皇后両陛下と会見するほか、安倍晋三首相とのゴルフや会食、相撲観戦と、親善行事ばかりが目立つ日程だ。

 首脳会談も行われるが、米政府高官は懸案の日米貿易交渉が目的ではないとの考えを示した。同盟関係のアピールに徹するのは、7月に参院選を控える首相にも好都合だろう。

 しかし楽観視はできない。トランプ政権は「安全保障を脅かしている」として、日欧を念頭に自動車の輸入制限に言及したばかりだ。中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置も、同じ理由に基づいている。

 世界貿易機関(WTO)は加盟国の輸入制限を禁じているが、安全保障は例外としている。しかし特定の企業や業種を狙い撃ちするやり方は乱用の批判を免れない。日本の国益を守るためにも、首相は歓迎ムードで終わらせず、トランプ氏をきちんと戒める必要がある。

 ファーウェイは米国から約110億ドル(1・2兆円)、日本からは7千億円規模の部品を調達している。禁輸措置で取引が縮小すれば、中国だけでなく日米にも大きな影響が及ぶ。

 米国は日本などにもファーウェイ締め出しに同調するよう要請しているが、安全保障に関わる明確な根拠は示そうとしない。第5世代(5G)移動通信システムで高い技術を持つファーウェイを失速させ、中国が製造業で世界首位となるのを阻む狙いがうかがえる。

 だがグローバル経済の下では、製品やサービスの流れは国境を超えて勢いを増す。せき止めれば世界全体で目詰まりが起きる。それを承知でトランプ政権が他国に譲歩を迫るのは、危険な賭けというしかない。

 中国国内では対抗策として、半導体製造に不可欠なレアアース禁輸を求める声が出始めた。応酬が激しくなれば世界経済の先行きは見通せなくなり、企業活動を鈍らせるばかりだ。

 6月末には大阪で20カ国・地域首脳会議(G20)が開かれる。米中が角を突き合わせていては、実質的な成果は望めない。議長国の日本は、両国に冷静な対応を求めねばならない。

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