社説

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 観光振興を目指し文化庁が認定する「日本遺産」に、新たに21道府県の16件が選ばれた。兵庫県からは3件が入った。

 日本遺産は、地域に点在する有形、無形の文化財を「面」でとらえ、外国人にも分かりやすい物語性や、地元の活動ぶりなどが審査される。

 住民が地域の魅力にあらためて気づく機会にもなる。認定を出発点として特色を磨き、活性化に生かしてもらいたい。

 赤穂市の「『日本第一』の塩を産したまち」は、瀬戸内海が生みだす塩作りの歴史や文化に光を当て、外国人観光客の興味を引くと評価された。

 香美町と新温泉町が鳥取県内5市町と申請した「日本海の風が生んだ絶景と秘境」は、奇岩や砂丘といった独特の景観と、幸せを呼ぶ伝統行事「麒麟獅子舞」を組み合わせ、風雪に耐える暮らしが育む文化をアピールした。7市町が一体となって取り組んできた点も支持された。

 宝塚市、加東市、加西市、姫路市の4寺を含む「1300年つづく日本の終活の旅」は、日本最古の仏教巡礼路で知られる西国三十三所を終活というキーワードでつなぎ、他の巡礼と差別化した。観音信仰は海外でも関心が高いと期待を集めた。

 創設から5年目を迎え、認定地域は東京都を除く46道府県に広がり、計83件となった。兵庫県の計8件は、都道府県別で最多だ。「五国」の多様性がもたらす文化の豊かさを感じる。

 全国では、認定をきっかけに外国人観光客らが急増した事例もあり、地域のブランド力向上への期待は高い。

 一方で、日本遺産そのものの認知度がまだ低く、過疎地域では活動に携わる人材が確保できないなどの課題も見えてきた。2017年に有識者委員会が検証したところ、認定地域の約7割で観光インフラ不足などの改善点が指摘された。

 文化庁は、東京五輪・パラリンピックが開幕する20年度までに100件程度を目指している。認定を得ようと無理なテーマ設定をして、訪れる人の期待を裏切るケースがあれば日本遺産の看板にも傷が付く。

 件数を増やすだけでなく、認定後の地域を一層支援する仕組みを検討する時期ではないか。

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