社説

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 政府は5月の月例経済報告で景気の総括判断を2カ月ぶりに引き下げた。米中通商摩擦を受け、輸出や生産の「弱さ」が4月より際立つ表現となった。

 一方で、景気が「緩やかに回復している」との認識は変えていない。後退の可能性を示していた3月の景気動向指数と矛盾する評価である。

 複数のデータから機械的に算出する景気動向指数と違い、月例掲載報告は表現に政府の裁量が入る。安倍政権は戦後最長の景気回復をアピールし続けてきただけに、7月の参院選を前に「回復」の文字を消せば「アベノミクス失敗」との批判は避けられないと考えたのだろう。

 景気の局面が変わりつつあるのは間違いない。懸念するのは「回復」に固執して現状認識と対応を誤ることだ。政府は経済状況を注意深く観察し、深刻な状態に陥りそうなら、直ちに対策を講じねばならない。

 月例報告の個別項目の判断を見ると、設備投資と生産は4月より後退した。一方、個人消費や雇用情勢は「持ち直し」「着実に改善」を維持している。公共投資は「底堅い動き」と上方修正した。

 内需は比較的堅調だ。しかし、通商摩擦による中国の景気不振を懸念して企業マインドは落ち込んでいるとみていい。

 米中の追加関税の応酬がエスカレートすれば世界全体の成長率が0・3%下振れすると国際通貨基金(IMF)は予測する。国内企業が減収や減益を予想する要因にもなっている。

 留意すべきは、雇用に占める非正規社員の比率が以前より高くなっている点だ。企業の悲観論が強まれば、真っ先にしわ寄せが及ぶ可能性がある。内需を支える雇用の好調ぶりも盤石とは言い切れない。

 日本が議長国となる20カ国・地域(G20)首脳会合を6月に控え、安倍政権は米中対立の解消に向け積極的な外交努力を重ねるべきだ。そのことが国内の景気対策にも結びつく。

 政府は消費税増税を予定通り10月に実施する意向だが、与党内の延期論はくすぶり続ける。中長期的な財政健全化に増税は避けて通れない。しかし足元の景気に与える影響は、慎重に見極める必要がある。

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