社説

  • 印刷

 安倍晋三首相は、国賓として来日中のトランプ米大統領と11回目の首脳会談を開いた。トランプ氏が拉致問題で支援する姿勢を見せるなど強固な同盟関係をアピールする一方、懸案の北朝鮮問題や貿易交渉では認識の溝も明らかになった。

 ゴルフや相撲見物など親密ムードの裏で両首脳が何を話したかは、国益に直結する。今後、両国政府の動きを注視する必要がある。

 今月上旬に北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射したことについて、首相は「国連安全保障理事会決議に違反し、極めて遺憾だ」と改めて非難した。トランプ氏は「違反したとは思わない」とし「北朝鮮は核実験をせず、長距離ミサイルも発射していない」との認識を示した。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との対話の扉を開いておくために、あえて問題視しない構えなのだろう。しかしミサイル発射を容認したことにならないか。

 北朝鮮に誤ったメッセージを送らないために、首相はその場でトランプ氏にくぎを刺すべきだった。

 一方両国間の貿易交渉は、大枠合意が7月の参院選後に先送りされた。安倍政権は米国に借りをつくったといえる。

 しかし会談後の会見でトランプ氏は、日本が関税協議の土台とする環太平洋連携協定(TPP)に「縛られない」と明言した。TPP水準としていたこれまでの事務レベルの協議を覆すものだ。

 会談時間が予定より長引いたことも、首相がトランプ氏に農産物輸入などで譲歩する姿勢を示したのではとの臆測を呼んでいる。米国との関係を国益より優先したのでなければ、首相はきちんと説明すべきだ。

 トランプ氏は自国第一主義を掲げて保護主義的な政策を打ち出し、外交面でも強硬姿勢を貫いて国際協調を乱している。

 6月末には大阪で20カ国・地域(G20)首脳会合が開かれる。首相は議長としてトランプ氏に直言すべき場面も出てくるだろう。それだけの関係が築けてこそ、同盟の絆といえないか。

 米国との親密な関係を、国益を守り国際社会の安定を築くために生かさねばならない。

社説の最新
もっと見る

天気(10月14日)

  • 23℃
  • ---℃
  • 50%

  • 22℃
  • ---℃
  • 50%

  • 22℃
  • ---℃
  • 50%

  • 22℃
  • ---℃
  • 50%

お知らせ