社説

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 川崎市内で登校のためにスクールバスを待っていた小学生らが襲われ、6年の女児と、別の児童の父親が犠牲になる事件が起きた。ほかにも17人がけがを負った。

 無防備な子どもと、何の落ち度もない市民を問答無用で殺傷した凶行は断じて許せない。捜査による全容解明を急ぐとともに、どうすれば子どもたちの安全を守れるのかを社会全体で考えなければならない。

 防犯カメラ映像などから、容疑者の51歳の男は自宅の最寄り駅で電車に乗り、約4キロ離れた現場に向かっていた。現場に着くと、両手に包丁を持って児童の列に近づき、小走りで次々に切り付けた。所持していた包丁は計4本もあった。

 計画的に大勢の殺害を狙った可能性がある。なぜこの場所で犯行に及んだのか。動機と背景に何があるのか。男はその場で自殺したが、痛ましい事件を繰り返さないためにも捜査で真相に迫る必要がある。

 児童8人が犠牲になった2001年の大阪教育大付属池田小学校事件を機に、学校の防犯強化や地域ぐるみの見守り活動が広がった。昨年5月、新潟市で下校中の小2女児が殺害された事件後には、政府が「登下校防犯プラン」を作成し、防犯カメラの積極活用や日常生活の中での見守り推進を掲げた。

 今回被害にあったのは、徒歩より安全とされるスクールバスを利用する児童たちだった。文部科学省は、05年に下校中の女児が殺害される事件が相次いだのを機にスクールバスの積極活用を打ち出し、導入する小学校が徐々に増えている。

 バス待ちの児童の列には教頭や保護者ら複数の大人が付き添っていた。だが凶器を持った犯人の襲撃を防ぐのは難しい。

 それでも、子どもたちを守るため、学校だけの問題とせず警察や地域社会などと連携して対策を講じねばならない。

 安全なはずの場所で、訳も分からないまま襲われた子どもたちはどんなに怖かっただろう。同じ学校に通う児童らのショックも計り知れない。心的外傷後ストレス障害(PTSD)が懸念される。学校や市教委は、専門家の協力を得て、長期的な心のケアに努めてもらいたい。

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