社説

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 英国のメイ首相が退陣を表明した。欧州連合(EU)離脱を巡って国内で行き詰まり、責任を取った形だ。

 当初の期限から2カ月以上が経過しても、離脱に向けた話し合いは実質的に進んでいない。政治は混迷の度を増し、退陣は当然と言える。だが問題は、現在の議会構成では誰が首相になっても有効な打開策が見当たらないことだ。

 与党の保守党内は離脱派と残留派に分かれ、EUとの親密な経済関係を望む最大野党の労働党も一枚岩ではない。双方とも歩み寄って結論を導き出そうとする姿勢を見せてこなかった。離脱を選んだ民意を実現できなかった点は、議会も責任を感じねばならない。

 メイ氏は2016年の国民投票を受けて、残留派のキャメロン首相の後任となった。

 政権基盤を盤石にしようと打って出た総選挙は、与党敗北で求心力を低下させた。EUとまとめた離脱合意案は議会で3度も否決され、今月になって2度目の国民投票の可能性に言及したことが議会の一部で反発を一層高める結果となった。強硬的な政治姿勢が、議会との合意形成を阻んだ責任は大きい。

 次期首相には、離脱強硬派のジョンソン前外相が有力視されている。仮に選出されても労働党との協議は困難だろう。保守党は議会で過半数を握っていないこともあり、離脱を巡る混迷は容易に解消されそうにない。

 ただ、絶対に避けねばならないのは、EUとの取り決めがないまま10月末の期限を迎える「合意なき離脱」だ。英国の市民生活のみならず、欧州や世界経済にも悪影響を及ぼす。

 国民投票が僅差の結果で終わって以来、英国では政界だけでなく国民の間にも分断が根深く広がる。新首相に求められるのは、メイ氏の失敗を教訓に国民と対話を重ね、議会と意見を擦り合わせながら、一定の方向性を打ち出していく姿勢だ。議会もそのための努力を惜しんではならない。

 英国内の混乱で、離脱期限はすでに2度延期された。「3度目はない」というのがEU側の認識だが、首相交代による政治空白という事情を考慮して柔軟な対応を求めたい。

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