社説

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 政府は、国賓として来日したトランプ米大統領をゴルフや相撲観戦などで連日もてなし、安倍晋三首相との「蜜月関係」の演出に腐心した。

 貿易交渉は大筋合意を参院選後に先送りし、空母型への改修を目指す自衛隊の大型護衛艦にトランプ氏を招いて「強固な同盟関係」をアピールした。

 確かに円満な日米関係の維持は大きな意味を持つ。ただ、前例のない厚遇の一方で、両国間の重要な課題が置き去りにされたことも間違いない。

 最たるものが日米地位協定の改定だ。公務中の米兵や軍属が起こした事件事故では米国の裁判権が優先されるなど、不平等な内容の見直しを求める声が、国内で高まっている。

 政府は「安全保障は国の専権事項」とする。ならばこの機会に、政府のトップである首相から米大統領に協議を持ち掛けるべきではなかったか。

 日米地位協定は、日米安全保障条約に基づき、在日米軍の兵士や軍属らの法的地位などを定める。日本の法律は適用されず、事件事故では行政や警察の立ち入り調査すらできない。

 米兵らによる凶悪事件や、ヘリ墜落などの事故が起きるたびに不平等さが指摘されてきた。だが、1960年の協定締結から一度も改定されていない。

 凶悪犯罪の容疑者の身柄引き渡しでは米側が「好意的考慮」を払う運用改善で合意したが、決定権は依然、米側にある。

 ドイツでは米軍に国内の航空法や騒音に関する法律が適用され、イタリアでは米軍の活動も全ての国内法の対象となる。両国とも世論の高まりを受けて米国との協定を見直してきた。

 在日米軍専用施設の7割が集中する沖縄県は、協定改定を政府に求め続けてきた。全国知事会も抜本見直しを要請したが、政府の腰は極めて重い。

 「民主的な価値観の共有」を両政府が強調するなら、過重な基地負担に苦しみ、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する沖縄の民意を直視すべきだ。

 米国製のミサイルや戦闘機などを大量購入するだけでなく、いびつな地位協定を見直し、基地負担の軽減にも知恵を絞る。国民の声に誠実に応えてこそ、日米同盟への理解は深まる。

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