社説

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 災害の被災者に国と自治体が最大350万円を貸し付ける「災害援護資金」について、借り主の死亡などに限られていた返済免除の対象を、自己破産者や保証人に広げる改正災害弔慰金法が参院で可決、成立した。

 返済が長期化している阪神・淡路大震災時の貸し付けに限っては、年間所得150万円未満など一定要件を満たした低所得者も免除される。

 1998年に最大300万円を支給する被災者生活再建支援法が施行されるまで、援護資金は被災者が当面まとまった現金を手にできる唯一の公的支援だった。阪神・淡路当時は、生活を立て直すために借りるしかない状況だったといえる。

 借り主の高齢化とともに低所得化も進み、未返済者には苦しい家計の中から月千円単位で返し続けている人も多い。震災から24年。もう肩の荷を下ろしてもいいだろう。各市は被災者の状況を的確に把握し、救済に全力を挙げてほしい。

 援護資金は国が原資の3分の2、残りを都道府県か政令市が負担し、市町村が回収を担う仕組みだ。阪神・淡路では、兵庫県内13市で約5万6千件、約1309億円が貸し付けられ、返済を終えた姫路、三木市を除き、計3730件、約53億円が未返済となっている。

 免除拡大で被災者や被災自治体の重荷は少し軽くなる。だが制度そのものの矛盾は残った。

 突然の災害で仕事や住まいを失った中・低所得者向けの貸し付けで、回収が難しいケースは想定されていた。返済の負担が生活基盤を脅かすようでは被災者支援の趣旨に反する。

 そのリスクを被災自治体が背負う仕組みは、被災地財政の足かせとなり、復興の阻害要因にもなる。被災地が広範囲に及ぶ南海トラフ巨大地震では対応しきれない可能性がある。

 一方、東日本大震災で貸し付けられた援護資金は阪神・淡路の半分以下にとどまっている。返す必要がない生活再建支援金の有用性を裏付けており、給付型の支援策拡充に向けた議論も必要だ。

 個々の被災状況や生活再建の方向に応じて、柔軟に選べる総合的な支援制度づくりを急がねばならない。

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