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 自民、公明両党は、参院の定数6増に伴い3年間、参院議員の歳費を自主返納できるようにする法案を国会に提出した。国民民主党の賛同も得て今国会で成立を目指す。

 夏の参院選を前に、定数増への批判をかわし、「身を切る改革」をアピールする狙いがある。返納額は1人月7万7千円を目安とし、改選で増える3人分の年間経費約2億2500万円を賄う。定数増でも国民負担は増やさないという理屈だ。

 だが、期間限定で増える定数分だけの返納が、果たして身を切る改革といえるのか。衆参で歳費に差が生じることの是非を巡る検討も不十分だ。その場しのぎの対応にすぎず、改革への本気度が伝わってこない。

 そもそも定数6増は昨年、与党が「1票の格差」是正を名目に、野党の反対を押し切って決めた。非拘束名簿方式の比例代表に、別枠で優先的に当選させる「特定枠」も新設した。前回参院選から導入された「合区」で立候補できなくなる現職の救済策とされ、自民党の我田引水的な色合いが濃い。

 定数増は1970年、本土復帰を前にした沖縄に選挙区を新設した時を除いて戦後初の事態である。

 議員が増えれば、給料に当たる歳費だけでなく期末手当、公設秘書手当、文書通信交通滞在費など、1人当たり年間7千万円以上の経費増となる。

 奇策ともいえる定数増に国民の理解を得るには、経費全体の妥当性を検証し、現状を抜本的に見直す議論が欠かせない。

 定数増に反対してきた立憲民主党は、与党案に対抗し、衆参両院の全議員の歳費を恒久的に削減する対案を提出した。日本維新の会は既に歳費などの2割削減を柱とする独自案を提出しており、ひとまず各党が身を切る姿勢を競う構図が整った。

 与党は野党の問題提起に耳を傾け、国会の総意による抜本的な改革を決断すべきだ。

 1票の格差是正のためとはいえ、これ以上の定数増や合区の拡大でつじつまを合わせるのは国民の理解が得られない。

 二院制での参院の役割を見直し、衆院とセットで1票の価値の平等をどう実現するかを正面から議論する必要がある。

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