社説

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 中国当局が学生らの民主化運動を武力弾圧した天安門事件から、4日で30年となる。

 首都北京で、国民を守るはずの人民解放軍が市民に銃口を向けた。戦車は轟音(ごうおん)を響かせて人々に迫った。当局発表の死者は319人だが、実際の犠牲者はこれを上回るとみられている。

 中国政府は「政治風波(騒ぎ)」として弾圧を正当化し続けるだけでなく、情報を規制して事件自体を人々の記憶から葬り去ろうとしているようだ。断じて容認できない。

 国際社会は、国家権力による過酷な実力行使を鮮明に記憶している。そのことを中国は直視するべきだ。

 事件は1989年4月、改革派指導者の胡耀邦元共産党総書記が急死したことが端緒となった。学生らの追悼活動が民主化運動に発展し、市民も参加した大規模なデモが繰り広げられた。これを受けて北京に戒厳令が出され、軍と学生、市民の衝突へとつながった。

 事件の後、中国は「世界の工場」として急速に発展を遂げ、今や経済、軍事両面で米国に迫る大国となった。しかしかたくなに民主化を拒んでいる点は30年間変わっていない。

 国民の人権や自由はないがしろにされ、ウイグル族やチベット族など少数民族の抑圧も批判されている。国際社会が共有する価値観に背を向ける振る舞いや力の誇示は、世界秩序の安定にも影を落とす。

 市場経済のメリットを享受し、世界のリーダーであろうとするのなら、民主化や人権の尊重が避けて通れないことを認識しなければならない。

 国家主席の任期を撤廃し、人工知能(AI)などの先端技術を国民監視に取り込むなど、現在の習近平指導部が強権支配をいっそう拡充している点は国内外の願いに逆行している。

 「一国二制度」で高度の自治が約束されているはずの香港でさえ、地元政府が指導部の意を受け、中国に批判的な人物を本土に引き渡す恐れのある条例改正を進めている。

 国内でも締め付けへの反発は根強くある。強権政治では国民の支持や真の安定は望めないことを、国際社会は粘り強く説き続けねばならない。

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