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 将棋の羽生善治九段が、歴代単独1位となる公式戦通算1434勝を達成した。王位戦の予選で、26歳の永瀬拓矢叡王を破り、将棋史に新たな金字塔を打ち立てた。

 15歳でデビューして以来、第一線で戦い続け、数々の偉大な記録をつくってきた。だが、それでも今回、「昭和の巨人」といわれ、尊敬する故大山康晴15世名人の勝利記録を塗り替えた点には感慨もひとしおだろう。不世出の天才棋士が48歳で成し遂げた快挙に大きな拍手を送りたい。

 特筆したいのは7割8厘という高い勝率だ。現在、千勝以上を挙げたプロ棋士9人の中で、7割を超えるのは羽生さんだけである。大山15世名人でさえ6割4分7厘だ。現在よりも対局数が少なかったこともあり、1433勝を挙げたときには69歳になっていた。羽生さんがいかに驚異的なスピードで白星を重ねてきたかを物語る。

 思い出すのは、神戸市出身の谷川浩司九段と繰り広げた数々の名勝負だ。谷川さんは「羽生さんとの対局は特別な時間」などと振り返った。好敵手に敬意と信頼を寄せていることがうかがえる。令和の時代も力を合わせて、将棋界をけん引し続けてほしい。

 羽生さんは史上初の七冠や永世七冠になり、昨年には将棋界で初となる国民栄誉賞を受賞するなど第一人者として君臨してきた。しかし昨年12月、27年ぶりに無冠に転落し、心配する声も上がっていた。そうした中、不屈の精神で立ち直り、再び勝利を重ねてきた。

 将棋界はいま、最も勢いのある棋士の一人で尼崎市在住の29歳の豊島(とよしま)将之三冠や、29連勝を記録した16歳の藤井聡太七段ら若い世代の台頭に沸いている。

 羽生さんも最近、彼らに押されがちな印象が否めなかったが、最近の対局でまだまだ力が劣っていないことを示した。今後も容易に越えられない壁として立ちはだかり、若手の水準をさらに引き上げてもらいたい。

 次の目標はあと1期に迫った通算タイトル100期だ。

 持ち前の読みの鋭さと「羽生マジック」と呼ばれる終盤の強さを発揮して、前人未到の偉業を達成する日が楽しみだ。

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